見るべきは「最低でも週に1回=年間に50件」の手術数
では、どうやって肩を得意としている医師を見つければいいのでしょうか。
私がおすすめするのは、「肩の手術をたくさん経験している医師」です。手術の数は、クリニックの公式ホームページなどで調べることができます。
正直に言いますが、私は、整形外科医ではありますが、肩以外の部位の手術はもう一切やっていません。患者さんのことを考えれば、今の私は肩以外の手術はやらないほうがいいと思っています。手術というのは、それほど専門性を必要とされるものなのです。最低でも週に1回(年間に50件)は手術をやっていないと、腕がなまります。逆から言えば、手術数の多い医師は、日に日に手術の腕が上がっています。
誤解しないでほしいのですが、「手術数が多い医師がいい」といっても、手術をおすすめしているのではありません。手術の経験が多ければ、それだけ肩の中やMRIなどの画像を多く見ている医師だから、診断についても信頼できるということです。
「肩関節外来」を掲げているなら安心
50代で、平日はデスクワーク、週末はテニス三昧の女性がいました。肩の痛みを訴えて整体院に行ったのですが、「1週間に1回来てください」と言われ、一般的な施術をされただけでした。半年ぐらい通って効果がないと実感した女性は、整体に見切りをつけ、スポーツ外来のある整形外科に行きました。そこでけんばん断裂という診断は下されたものの、5カ月ほどおこなった治療やリハビリで効果は感じなかったといいます。
その後、別のスポーツ外来に相談に行きましたが、また同じことが繰り返されたそうです。合わせて1年以上。この間に適切な治療がされなかったのです。
けんばん断裂は、絶対に「肩を得意としている医師」に診てもらうべき疾患です。スポーツによる故障であっても、スポーツ外来が最適とはいえないのです。
「肩関節外来」を掲げているクリニックなら、かなり安心です。
ですが、肩関節外来があるクリニックや肩の手術例が多いクリニックが生活圏内にない、という方もいらっしゃるでしょう。そうであれば、医師がどんなふうに自分の肩と向き合ってくれるかで判断するしかありません。定期的に診てくれて、治療方針をきちんと説明してくれるなら、誠実に向き合ってくれている目安になります。逆に、「ちゃんと向き合ってくれない」「おかしい」と感じたら、迷わず他のクリニックに相談してください。
1981年生まれ。山形大学医学部卒業。肩関節、肩関節鏡手術、スポーツ医学の専門家としてさまざまな肩治療を行う。肩関節鏡手術は年間約400件と全国トップクラス。診療のかたわら「医学的根拠のあるセルフケアを」との信念から、YouTubeで医療情報の発信も行っている。現在は東京脊椎・関節クリニック 羽田に所属。