「本を読みなさい」より有効な導き
彼のことでおもしろいのは、親は一切「勉強しろ」と言うことがないのに、塾へも行かずにコツコツと勉強し、成績が優秀だったことです。本を読んでいるうちに、自然と歴史や地理や英語や古文が好きになったといいます。
そして彼は自分の好きな作家が通っていて、作品にも出てくる難関大学へ進学を果たし、いまは建築に夢中になっているそうです。
このように、たとえ親がゲームの開発に携わっていて、家でも好きなだけゲームができる環境があったとしても、家の蔵書量や親の振る舞い方一つで、子どもは読書に夢中になり、そこから自分なりの人生を築いていくものなのです。
つまるところ、親が子どもに本を読ませたければ、親自身がスマホを置いて、毎日30分でも1時間でも本を読み、それによって手に入れた教養を親子の会話の中で普通に話していればいいのです。
逆にその習慣がなければ、親がいくら「本を読みなさい」と言ったところで、なかなか聞き入れようとしない。
文部科学省が出した次のような調査の結果は、そのことを如実に示しています。
家庭の蔵書数と学力の関係性
例年、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を受けて、文部科学省が学力と読書の関係性を分析しています(図表1)。
結果から述べれば、家庭における蔵書数が多い子どもほど、テストの正答率が高かったことが明らかになりました。それが図表1です。
家庭の蔵書数が、子どもの学力に大きな影響を及ぼすことがわかると思います。
1977年東京生まれ。作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執筆活動をおこなう。著書に『物乞う仏陀』(文春文庫)、『神の棄てた裸体 イスラームの夜を歩く』『遺体 震災、津波の果てに』(いずれも新潮文庫)など多数。2021年『こどもホスピスの奇跡』(新潮社)で新潮ドキュメント賞を受賞。
