「モデリング効果」で伸ばす語彙力

読書についても同様なのです。子どもが読書をするかは、家庭の中に、読書=かっこいいという文化があるかどうかなのです。実際に、私のまわりの作家や編集者の子どもたちはほぼ例外なく、本を当たり前のように読みますし、その量は全国平均をはるかに上回っています。

これは心理学用語で「モデリング効果」と呼ばれるものの一つです。

家庭の中で、親は子どもにとってのモデルです。それゆえ、親がやっていることを、子どもは無意識のうちに真似したり、同じ価値観を持ったりするようになるのです。

もし子どもに本を読ませたければ、親自身が毎日のように本を読み、大きな棚にたくさんの蔵書を揃え、会話の中でそこで培った教養を話してみてください

そうすれば、子どもは自然と読書をし、それについて語りだすはずです。こういう子は〈ことばの力〉がどんどん伸びていき、ひいてはそれが学力の向上にもつながります。

本は大人と肩を並べて会話できる「道具」

一例を出せば、私が仲良くしている、ゲーム開発の仕事をしている男性がいます。彼の妻はキャラクターデザインの仕事をしています。

この家には夫婦の仕事がらゲームがたくさんありますが、共に読書家でそれ以上に本が溢れています。リビングの本棚だけで1000冊以上はあるはずです。そして夫婦の話はもっぱら本についてでした。

私は年に一度のペースで、この家の食事会に招かれていました。夫婦には一人息子がいますが、ゲームはほとんどせず、両親同様に読書に夢中になっていました。そして私が行くたびに「僕はこの作家が好きなんだ。石井さんも読んだことある?」とか「石井さんは何年生のときにこの本を読んだ?」などと話しかけてきました。毎回驚かされるのは読む本の質の高さでした。

家を訪れるたびにこの息子と話していて感じたのは、彼にとって本の話をするのが一種のステイタスになっていることでした。本を読むことがかっこいいと思い、自分の読書量に自信を持っているからこそ、堂々と私にもその話をすることができる

彼にとって本は自分を成長させ、大人と肩を並べて話ができる道具だったのです

本を読む親子
※写真はイメージです(プレジデントオンライン編集部にてAdobe Fireflyで作成)