“普通”になってほしいと必死だった
ステップ②その信念・価値観をゆるめ、本当の願いに戻る
Mさんは、そこで初めて気づきました。
「私はずっと、人の目を気にして生きてきたんだ」
「その不安を、この子にも向けてしまっていたんだ」
まずは、そのことを責めずに受け止めました。
「ずっと、“普通にしなきゃ”って頑張ってきたんだね」
「本当は、たくさん褒めてもらいたかったよね」
「ありのままの自分でいたかったよね」
そんなふうに自分に声をかけることから始めました。そして問いかけました。
「本当に、“普通”であることが幸せなのだろうか?」
「人間は多様性があるからいいのではないか」
「普通って何? 普通であることのほうが不自然なのではないか?」
すると、その奥にあった本当の願いが見えてきました。それは、
「この子に、そのままの自分を愛せる人になってほしい」
「安心して、自分を出せるようになってほしい」
という願いでした。
「周りの目」という恐れから“普通”になってほしいと必死だった。でも本当は、「この子がこの子らしく、安心して生きられること」それを願っていたのです。
「落ち着きなさい」から「今、どんな気持ち?」へ
ステップ③本音ベースで伝え直す
ある日、お子さんが、嬉しそうに大きな声で話しながら、元気いっぱいに動き回っていました。
以前なら、すぐに「落ち着きなさい!」と言っていた場面です。
でもその日、Mさんは深呼吸をしてこう声をかけました。
「今日はすごく楽しいことがあったんだね」
「それくらい嬉しかったんだね」
お子さんは少し驚いた顔をして、「うん!」と答えました。そしてMさんは続けました。
「お母さんね、今まで『落ち着きなさい』ってたくさん言ってきたよね」
「でも、本当は、元気いっぱいなところも、思ったことを素直に言えるところも、あなたの素敵なところだと思っているんだ」
「そのままのあなたらしさを大切にしながら、人との関わり方も一緒に考えていけたら嬉しいな」
すると、お子さんは、少し照れたように笑ったそうです。
その日を境に、すべてが急に変わったわけではありません。
それでも、Mさんの言葉は少しずつ変わっていきました。
「落ち着きなさい」ではなく、「今、どんな気持ち?」「どうしたらみんなも気持ちよく過ごせるかな?」「何かお母さんに手伝えることはある?」
そんな対話が増えていきました。
そして、親子で笑って話せる時間も、少しずつ増えていったのです。
Mさんは言いました。
「子どもを受け入れられるようになったというより、私自身が人の目を気にして『普通でなければいけない』と思い込んで生きてきた自分を、少しずつ許せるようになったんです」



