※本稿は、潮田学『「あなたのため」をやめましょう 親のエゴを手放せば子どもは動き出す』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
強い口調で叱っては自己嫌悪に陥る
次にご紹介するのは、Mさんのお話です。
Mさんのお子さんは、とてもエネルギッシュな子でした。思ったことをすぐ口にする。嬉しくなると、つい声が大きくなる。興味を持ったことには一直線で、その場の空気よりも「やりたい!」を優先する。いつも目立つ存在でした。
そんな我が子を見るたびに、Mさんはハラハラしていました。
「目立たないでほしい」
「少しは周りを見てほしい」
「そんなことをしていたら、変に思われるんじゃないか」
そして、つい、
「落ち着きなさい!」
「静かにしなさい!」
「ちゃんと周りを見なさい!」
と強い口調で言ってしまうのでした。
言った後には、いつも自己嫌悪に陥り、苦しくなりました。
本当は、この子を否定したいわけではない。もっと受け止めてあげたい。もっと安心できる言葉をかけてあげたい。
それなのに、どうしてもイライラしてしまう。そして、いつも怒鳴り散らしているそんな自分が嫌になる。
Mさんは、そんな苦しさを抱えて相談に来られました。
「周りの評価」を重視する価値観
ステップ①その背景にある信念・価値観を見つける
丁寧に見ていくと、Mさんの中には、こんな思いがありました。
「周りと違うと、生きづらくなる」
「目立たないでいることが安心だ」
「人からどう思われるかが大切だ」
その信念・価値観を生み出した背景には、もっと深刻なものがありました。
Mさんは、幼い頃から、親にたくさん否定的な言葉をかけられてきたそうです。
「なんでそんなこともできないの」
「もっとちゃんとしなさい」
「○○ちゃんはできるのに」
周りの子と比べられ、評価され、正され続けてきました。「自分が自分でいてはいけない」「存在してはいけない」。そんな感覚が無意識の中に少しずつ深く根をはっていたのでした。自分の感覚よりも、周りの評価。自分の気持ちよりも、周りがどう思うか。それが、いつの間にか、自分の価値を決める基準になっていました。


