日本の未婚化を変えるカギ
ハラ研究員らの分析結果を基にすれば、労働や家事・育児面における男女平等化の推進がカギだと考えられます。「男性は仕事、女性は家事・育児」という性別役割分業意識が残る日本では、結婚・出産後のキャリアへの影響が大きい女性の相対的な賃金はまだ低く、どうしても年収の高い男性との結婚が合理的な選択となってしまいます。
また以前の記事でも述べたように、その理想の男性と出会えなかった場合でも、一人で不自由なく生きていくことができる経済力はあるため、「結婚しない」という選択肢が最も合理的な選択肢となりえます。
これを打破し、年収以外の面でもパートナー選択をするようになれば、婚活市場に変化が見えるようになるでしょう。
もちろん、これは「理想を下げるべきだ」という話ではありません。問題は、一人ひとりが合理的に行動した結果、全体として条件が噛み合わなくなっていることです。
もしそうだとすれば、日本の未婚化を変える鍵は、若者の価値観を責めることではなく、結婚しても男女どちらかに過度な負担が偏らない社会をつくることにあるのかもしれません。
〈参考文献〉
(*1)Hara, Y., & Yu, W.-h. (2025). Mate preferences and marriage-related behaviors: The case of Japan. Journal of Marriage and Family, 87(4), 1361–1386.
(*2)McClintock, E. A. (2014). Beauty and status: The illusion of exchange in partner selection? American Sociological Review, 79(4), 575–604.
1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。