息子の「仲間外れ」はどうすればいいのか

その日は少しだけ3人で遊べたのだけれど、どこか噛み合わないまま時間が過ぎ、やがてKは泣き出してしまった。私に抱っこされて帰宅したKは、泣きながら訴えた。

「Kも一緒に遊びたかった。なんでKはダメなの?」

なんと声をかけてあげればいいのだろう。

「今度、また遊ぼうね」「仲間はずれはダメだよね」……そんなありきたりな言葉しか出てこず、落ち込んだ。

本連載の担当編集S氏にこの体験を話すと彼はさらりと口にした。

「誰もが通る問題なんじゃないですかね。早いうちに経験しておいた方がいいじゃないですか」

確かにその通りだ……。私も誰かに相談されたら同じように答えただろう。その通りなのだが、我が子のこととなると話は別だ。

幼児の仲間はずれ。この問題をどのように受け止めて、親としてどう対処すればいいのだろうか。

子ども家庭庁の「幼児期までのこどもの育ち部会」の部会長をつとめた保育学の専門家である秋田喜代美先生も、私の動揺をよそに「よくあることですね」とさらりと言った。

秋田喜代美先生
撮影=プレジデントオンライン編集部
秋田喜代美先生

中学生のイジメとはまったく違う

「3歳、4歳になると保育園や幼稚園でも2者の強い関係ができてきます。その2人の間にもう1人が入ろうとすると『ダメ』と拒否する場合があります。もちろん仲間はずれにしようという悪意はありません。大人から見れば、みんなで仲良く遊んでほしいと思うのですが、仲のよい2人にとっては、2人きりで遊んでいた方が楽しいと感じているんだと思います。

子どもは正直です。仲良しができるとずっと一緒にいたいという気持ちが生まれるんですよ。だから、中学生が友だちを排除したり、イジメたりするのとはまったく違います」

付き合いたての恋人同士のような心境か。だとしたら、なんとなく幼児の気持ちが腑に落ちた。

思い出したのが、秋田先生が監修をつとめた『あらゆる学問は保育につながる』の一節だ。

〈保育・幼児教育実践の現在〉と題された座談会に出席した東京家政大学ナースリールーム(乳幼児の保育施設)に勤務した井桁容子氏は次のように発言している。

〈一つ気になることがあります。それは、「ごめんね」「入れて」「貸して」と言われたら、言われた子どもは「いいよ」と必ず言わなければならないことについていてです〉

井桁氏は全国の保育施設で「入れて」「いいよ」がセットで使われる事実に言及し、次のように語る。

〈子どもは、「貸してと言ったら、貸してあげなければ駄目なんだ」と理解しますから、自分の思いを表現することを止めてしまいます〉