子どもが腹部を損傷しやすい理由
このような重症例は氷山の一角で、実際には子どもが腹部にダメージを受けるケガは、病院を救急受診するほどではないとしても、たくさん起きています。しかも、高いところから転落したなど、特別な場面で起きているのではありません。登下校中に走り出して転んでしまったとか、休み時間に友達と追いかけっこをしていてバランスを崩したなど、日常の中で起きているのです。
では、なぜ子どもは水筒によって内臓を損傷しやすいかというと、一つは体の構造に理由があります。子どもは大人に比べて筋肉が未発達で、クッションの役割を果たす皮下脂肪が少なく腹壁が薄いため、外からの衝撃がダイレクトに内臓に伝わりやすいのです。
二つ目は、子どもは通学に大きくて重いランドセルやリュックを背負っていることで、重心が後ろ寄りになっています。この状態ではバランスを崩しやすいうえ、とっさに手をついて体を守ることも難しいのです。その結果、硬い水筒のようなものが体の一点に当たることで、大人には起こりにくい重篤な外傷につながるのです。
これらに加えて、子どもは衝動的に走り出す、大人の予測を超えた動きをするといった行動特性も、転倒のリスクをさらに高める要因となっています。
「水筒による事故」の3つの共通点
水筒による事故には、3つの共通点があります。
まず、「体の前側に硬いものがある状態」であること。斜め掛けにして水筒が腹部の前、ちょうどみぞおちやおへそのあたりにきていると、転倒時に自分の体重と走っていた勢いが一点に集中してしまいます。
次に「固定されていないこと」。水筒をぶら下げていると子どもが動くたびに大きく揺れます。この揺れが、転倒時に勢いを加速させて衝撃をさらに強くします。
そして「転倒の場面が日常的であること」。特別な場面ではなく、通学中や休み時間、ちょっと走ったときなどありふれた状況で起きているのが特徴。「危ないから走らないで」という注意が届かないような、登下校や遊びの最中に起きやすいのです。
同様のことは、水筒以外でも起こっています。防犯ブザーや鍵ケース、携帯電話など首から下げた硬いものが体の前側にあるとき、同じような事故を引き起こすリスクがあるので注意が必要です。


