脳科学の「模倣の力」をフル活用して楽しませる
子どもの成績を伸ばす方法を考えるなら、最も大事なこと、子育ての土台になる「愛着形成」を大事にしてほしいと思います。親子の心理的な絆のことですね。愛情を言葉で伝えたり、一緒に外で遊んだり、親子の時間を通して愛着形成をしっかり行ってください。そこで育まれた自信が、難しい勉強にもあきらめずに取り組む姿勢につながります。
そのうえで、脳科学的に、子どもの成績アップを親がサポートしようと思うと、一定量の「外発的動機づけ」はあったほうがいいといわれます。褒めるのはもちろん、やる気を出すきっかけに、算数を頑張ったご褒美にお小遣いを与えるのもいいと思います。「角度を求めるための公式を覚える」など問題を解くために必要な暗記をさせたり、理解できていない単元を復習させたりするとき、子どものやる気を短期的に引き出すエンジンとして、外発的動機づけは意外と使えます。
その結果、公式を覚えて解けるようになり、点数が取れるようになっていくと、子どもは「算数の面白さ」に目覚めて、「算数が面白いからやる」という内面から湧き上がる欲求――内発的動機づけに自然と移っていきます。親御さんが、外発的動機づけで最初のモチベーションをつくる役割を担うことで、子どもが内発的動機を育てていく――このような流れで子どもの興味を引き出せれば理想的ですね。
もう一つ、わが子を算数好きに変える方法についてお話しします。最強なのは、親が問題を子どもに見せて、楽しそうに親も一緒に解くこと。脳科学の「模倣の力」を活用するのです。親の楽しそうな姿を見て、子どもは共感したり、算数の解き方を学んだりします。
親子で算数の問題を解く際のポイントは次の三つです。
・よーいどん!で一緒に解く。
・頑張っている過程を褒める。
・ミスを防ぐ仕組みを教える。
最初は子どもにとってちょっと簡単な問題から始めてください。子どもは簡単すぎても難しすぎても、勉強が身につかないことが脳科学の研究からわかっています。だんだんと「ちょっとだけ難しい」問題に挑戦していくのが、効果的な学習につながります。
逆効果になるのは、「なんで解けないの?」と叱ること。問題を解けないこと自体を厳しく指摘すると、「算数を解く=親が怒る」というネガティブな学習がされて、算数嫌いな子になってしまうおそれがあります。
では、同じミスを繰り返す、問題を解くのに必要な引くべき線を何度言っても引かないときは、何と言えばいいでしょうか。「自分で自分の足を引っ張ってしまっていてもったいないよ」と穏やかに諭せば、子どももわかってくれるでしょう。
※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。


