※本稿は、伊藤滉一郎『子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
高校受験で広がる「子どもの可能性」
中学受験を避けてあえての高校受験を選ぶことで得られるメリットもあります。まず、都市部の高校受験のメリットに関して言えば、競合が中学受験と比較して弱いという点が挙げられるでしょう。
首都圏の中学受験率はおよそ2割(東京都は3割)です。これは言い換えると教育熱の高い上位2〜3割が中学受験の段階で抜け(小学校受験で抜ける方もいますね)、高校受験はその上位層が抜けた状態での戦いになるということです。そのため、中学受験に比べて少ない時間的・金銭的コストでそれなりの高校に合格することが可能となり、コスパよく難関大学への道筋が開けるという見方もできます。
慶應や青山学院など、小学校、中学校、高校と入り口がいくつもある大学付属校は、高校受験が最も枠が広く入りやすいというのが業界の共通認識です。
2つ目のメリットとして、「社会の縮図」を思春期に身をもって経験できるという点が挙げられるでしょう。私の体験談ですが、社会で生きていくにあたって、高校以降に出会った学力的に恵まれた人たちだけでなく、公立中学校時代の様子を体感としてリアルに思い出せるのは、自分の強みであると感じます。
多様な価値観に揉まれる3年間の価値
中高一貫の私立校を卒業し、難関大学に入学して、大手有名企業で働くのが当たり前という環境で育ってしまうと、そのような価値観が固定化されてしまい、そのレールから逸脱することに抵抗が出てきてしまうのではないでしょうか。
小中のうちから私立校に通い、恵まれた環境で思春期を送るのもいいかもしれませんが、私は公立中学校での経験を通して、世の中には「いい大学を出て、いい企業」だけではない、多様な生き方があるのだと体感として知っている人生も悪くないのではないかと感じています。
3つ目は、なんと言っても(親の)時間的・金銭的負担が小学校受験・中学受験に比べて少なく済むという点でしょう。高校受験ルートは、塾に通わないと難関校合格は不可能と言われている中学受験とは異なり、中3のみの通塾や通信教育メインでの自宅学習であっても難関校に合格できる割合が上がるのが特徴です。
高校に入学するまでの塾代の平均は100万円程度だと言われ、中学受験の半分程度の費用で済みそうです。中学受験ルートにおいては、入学するまでの3年間の受験対策で300万円程度の課金をしたのちに、6年間にわたって授業料や寄付金などを払っていく必要があり、小3から大学入学までに1000万円程度が必要と言われています。



