家庭での会話が国語の読解力につながる

家庭力の重要性は、国語入試でも顕著だ。国語の物語文といえば、かつては自分と同じ歳の子と友達との関わりを題材にしたテーマが多かったが、近年は実にさまざまな場面設定の物語が題材として選ばれている。

先にも紹介した武蔵中では、自分を出産したときに脳出血で植物状態となってしまった母と、その娘の物語が起用された。とても繊細なストーリーを12歳の男子が理解するのは容易いことではない。国語といえば、かつてはテクニックで解けるものもあったが、それ以前に他者共感ができる成熟度がなければ歯が立たないだろう。

女子難関校の豊島岡女子学園では、飼っていた猫の死という深い悲しみから、主人公が立ち直っていくまでの物語が登場した。子供同士の世界だけではなかなか知ることができない心情表現が出てくる。こうした心の機微が理解できるようになるには、やはり日ごろから大人とどこまで深い話をしてきたかが大きい。

話をする母と娘
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算数入試はテクニックから思考力へ

中学受験では昔も今も、得点力で差がつきやすい算数入試が重視されている。しかし、ここ10年の間に、ゆるやかな変化が起きている。かつての算数入試は、脊髄反射のように問題を素早く解くことや、小学生の学力レベルを超えるような難問・奇問を解かせることでふるいにかけていたが、近年はこうしたテクニックだけで解ける問題はほぼない。

それに代わって、問題文を丁寧に読み、一度自分の頭の中に取り込んで、自分の頭で考えて答えを導き出す思考力を求める問題が主流となっている。もともと難関校の一部ではそのような入試問題が出題されていたが、近ごろは中堅校でもその傾向が見られるようになってきている。

こうした問題にシフトチェンジしている背景に、大量演習やくり返し学習で知識を詰め込んできた子ではなく、自分の手を使い、自分の頭を使いしっかりと考える習慣を身に付けてきた子に来てほしいという学校側の思いを強く感じる。

では、今後どのような受験対策が必要になるか――。