漫画を読まなくても解けた世界史
――「歴史総合,世界史探究」で少女漫画の名作『ベルサイユのばら』(通称ベルばら、池田理代子作)を題材にした問題が出て、世間的にも話題になりました。1972~73年発表の作品なので、2007~08年生まれが多い今年の受験生は、読んだことがある人は少なかったようです。
【越田】実は、これは漫画を読まなくても解ける問題なんです。「なんだ、これは?」とビビったら負けですね。これは歴史上のフランス革命についての出題であり、漫画の設定としてオスカルが実は女性で、男装し軍人として生きているということは、解答に影響しない。そこで混乱してしまった人は、上手い具合に共通テストのトラップに引っかかっているとも言えます。漫画が出てきた場合でも、作中のフィクション部分の設定や物語は解答に影響しない。共通テストがそういう出題をするわけがないですから、そこは信用していいと思います。なので、解答に関係しそうな部分だけを拾い読む。今回の漫画で言えば「バスティーユ」という語が一応解答のヒントになっています。そういった出題のパターンをつかむことが重要ですね。
地学のタイムマシンは良問
――また、理科の選択科目「地学」でタイムマシンが出てきて、現代の研究者が1000年前の平安時代へタイムトリップし、陰陽寮の天文博士と語らって「自分は未来人なんです」と告白するといった問題もありました。
【横田】そういったユニークな設定にして、できるだけ受験生に興味を持ってもらえるような形の工夫がされていると思います。地学の担当者も「この問題自体はとても良問」という分析でした。「タイムマシン」という仮想的な要素を盛り込むことで、過去の追試験でも出題された「時間・空間スケール」というテーマに新たに「現在の地球との比較」という観点を加えた問題です。こうしたサイエンスフィクションに慣れ親しんでいない受験生に読解しにくかったとしても、問題設定による得点(平均点)への影響はごく小さいと考えています。
タイムマシンが出たことは、かなり話題になりましたね。それによって、地学の問題をちょっと見てみようかな、といった人が増えると思うんです。そして、たとえば高校1・2年生が「地学が面白そうだから選択してみよう」と思ってくれれば、将来的に徐々に科目の裾野が広がっていく効果もあるのではないかと思います。



