「この住まいが気に入りすぎた」
北堀町は市街地の北隅、中心街からは離れている。それまで住んでいた大橋界隈の繁華な場所と違って、付近は昼間も人通りがなく静寂に包まれていた。落ち着いて執筆に没頭できる環境がハーンにはありがたかった。また、裏山に鬱蒼と繁る森や家を囲む風流な庭園など、大橋川や宍道湖の眺望に勝るとも劣らぬ美しい眺めがあふれている。
この家がいちばん居心地がよくて安らげる場所になっている。神戸で暮らしていた明治29年(1896)に、松江を再訪した時にはこの旧居にも立ち寄り「我が家に帰ってきた」と喜んだ。2時間以上も滞在して感慨深げに部屋や庭を眺めていたという。
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