「ゲームが脳を壊す」ということはない

ゲームに夢中になっている子どもを見ると、「ゲームばかりしていて大丈夫かな」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

こど看『児童精神科の看護師が伝える 10代のこわれやすいこころの包みかた』(KADOKAWA)
こど看『児童精神科の看護師が伝える 10代のこわれやすいこころの包みかた』(KADOKAWA)

かつて「ゲーム脳」という言葉が注目され、「ゲームをすると脳が萎縮する」といった説が広まりました。近年でも、香川県のネット・ゲーム依存予防対策学習シートに「脳への影響」を示す図が掲載されていましたが、こうした情報は科学的根拠に乏しいとして専門家の批判を受け、2025年に見直されました。このように、今では「ゲームが脳を壊す」という考え方は、医学的にも教育的にも否定されています。

だからといって、大人が子どものゲーム時間を心配する気持ちが間違っているわけではありません。大切なのは、「ゲームをしていること」そのものではなく、「その子はゲームをすることでどうなりたいのか」という視点で状況を観察することです。

子どもをゲームが救っていることがある

現実の中で苦しさを抱えていたり、学校や家庭に安心できる居場所がないとき、子どもはゲームの世界に居場所を見いだし、心を保とうとすることがあります。

学校でいじめを受けたり、家庭で叱責や無関心、暴力・暴言などの虐待にさらされたりする中で、唯一安心できる場所としてゲームが存在しているのかもしれないということを忘れないでほしいのです。私自身の経験でも、「“ゲームにハマっているから”学校に行けない」というより、「“学校が苦しい場所になっているから”居場所を求めてゲームをしている」という子どものほうが圧倒的に多いと感じています。

だからこそ、「何時間やっているのか」だけではなく、「その子にとってゲームとは何か」に目を向けつつ、どんなゲームをしているか、オンラインで誰と遊んでいるか、ゲームをすることでどうなりたいのか……、そのように目と耳を傾けてみましょう。もしかしたら、ゲームがその子の今を保ち、救っているのかもしれないのですから。