認知症は“8人に1人”元気なうちに話し合う

認知症は、誰にでも起こりうることです。内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の認知症有病率は12.3%と推計されています。これは、65歳以上の高齢者のおよそ8人に1人にあたる計算です。

シニア女性が車を降りるのをサポート
写真=iStock.com/SetsukoN
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「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに、親の判断能力が低下してしまうと、不動産の売却や相続の手続きが非常に複雑になります。

大切なのは、親御さんがしっかり判断できるうちに、実家をどうしたいのか確認しておくこと。形式ばったものでなくても構いません。「この家はどうしてほしい?」「残しておきたいものはある?」そんな会話を少しずつ重ねておくだけでも違います。

もちろん、親御さんが元気なうちに実家じまいまで済ましておけるとベストですが、それが難しい場合でも「実家をこれから先どうしていきたいのか」ということを早めに家族で話し合っておくとよいでしょう。

例②:空き家の維持費と片づけが想定以上に

次にご紹介するのは、都内在住のBさん(50代)のケースです。

Bさんの両親(70代)は、定年を機に「夢だった東京生活を経験したい」と、65歳のときに広島の実家を離れて東京へ引っ越しました。ただ、「最期は地元に戻って暮らしたい」という思いもあったため、実家はそのまま残すことに。Bさんたちきょうだいの荷物や家財道具も置いたまま、空き家状態が続きました。

ところが、築30年以上の実家はメンテナンスが必要になり、維持費は年間50万円近くに膨らんでいきました。固定資産税、火災保険、定期的な換気や草むしりの管理費、老朽化した設備の修繕費……「いつか戻る」と思って残していた実家が、家計の重荷になっていったのです。

家族で話し合った結果、実家を売却することに。思いのほか早く買い手がついたのですが、今度は片づけに追われることになったのです。両親も手伝おうとしてくれましたが、途中で体調を崩してしまいました。きょうだい間でも「何を処分するのか」「誰が何を引き取るか」で意見がかみ合わず、なかなかスムーズに進みません。

結局、自分たちだけでは手に負えなくなり、業者に依頼することになりました。費用も時間も、予想以上にかかってしまったそうです。