実家を残すと想像以上に「お金がかかる」

空き家の維持費は、一般的に年間20〜50万円程度かかると言われています。固定資産税、火災保険、水道光熱費の基本料金、管理のための交通費や修繕費など、積み重なると決して小さな金額ではありません。そのため、売却を決めたのは賢明な判断だったと思います。

ただ、Bさんのケースでは「実家の片づけのタイミング」と「家族間の意思疎通」が問題でした。

家の売却が決まってから慌てて片づけるのは、体力的にも精神的にも大変です。特に親御さんの体力が落ちてからでは、手伝ってもらうことも難しくなります。また、きょうだいがいる場合は、実家にあるモノをどうするかについて、事前に話し合っておくことが欠かせません。

「いつか片づけよう」「いつか話し合おう」と思っているうちに、状況は少しずつ難しくなっていきます。親御さんも自分たちも元気なうちに、要らないものの処分を進めておくことをおすすめします。

荷造り
写真=iStock.com/west
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苦労した「両親の転居先探し」

ちなみに私の場合、実家の片づけや売却自体は比較的スムーズに進みました。すでに水回りのリフォームや、床・壁紙の補修を終えていたこともあってか、売却価格は予想を上回る1150万円でした。大分市内とはいえ最寄駅から徒歩45分、市街地までは車で30分くらいかかる立地で、築32年の戸建てという条件を考えると、良い結果だったと思います。

ところが、思わぬところで苦労しました。両親の新しい住まい探しです。「62歳ならまだ若いし、すぐ見つかるだろう」と思っていたのですが、現実は違いました。

両親は収入もあり、引っ越してからも働く意欲があったにもかかわらず、契約の段階で年齢面から「審査に通らない可能性がある」と言われたのです。そのため、いい物件が見つかっても、いざ契約の話になると「ご両親の年齢を考えると難しい」と何度も断られました。結局は私の名義で契約し、弟に保証人になってもらうことでなんとか借りることができたのです。

救いだったのは、契約時に両親の元気な姿を見て、不動産会社や大家さんが安心してくださったこと。私の自宅から徒歩5分という近さも、「何かあればすぐ駆けつけられる」という安心材料になったようです。

ある調査によると、65歳以上の高齢者の約4人に1人が、年齢を理由に賃貸住宅への入居を断られた経験があるといいます。一般的に、年齢が上がるにつれて、賃貸住宅の選択肢は少しずつ狭まるともいわれます。もし両親がもっと高齢になってからの住み替えだったら、住まい探しはもっと困難を極めていたかもしれません。