古代「サリカ法」と同列にされた皇室典範
ここで、「サリカ法」という言葉が使われていることが注目される。サリカ法とは、古代のフランク王国で成立したゲルマン部族法の一つである。そこに、女性の土地相続を否定する条文があることから、女性による王位継承に否定的なヨーロッパの陣営がその根拠として持ち出してきたものである。何しろ王は、国の領土を所有する存在だからである。日本の「皇室典範」は、このサリカ法と同列のものと見なされているわけである。
記事では、「愛子天皇」待望論者たちは、世界最古の君主制である皇統を守るため、皇位継承を一刻も早く変更するよう求めているとする一方で、高市氏は、過去に現行の皇位継承制度の変更に反対する発言をしてきたことから、法改正は容易ではないだろうという見通しまでが述べられている。
しかし、今年5月に毎日新聞が発表した世論調査では、回答者の7割が女性による皇位継承に賛成しており、共同通信が2024年に実施した別の世論調査になると、その支持率は9割に達したことも紹介されている。
記事の最後の部分では、2024年に国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が日本の皇位継承ルールの見直しを勧告し、それが日本国内でも大きな論争を巻き起こしたことに触れている。そこでは、中央大学の大川真教授が、愛子内親王による皇位継承は、日本社会における社会的・政治的な分断の拡大を橋渡しし、統合の力となる可能性があると指摘していることが紹介されている。
第1子継承へシフトしている欧州の王室
こうした海外の報道において、国内では報じられていなかった特別なことが述べられているわけではない。しかし、海外の記者が、日本の皇位継承のあり方について、それを時代にそぐわない保守的なものとして捉えていることは間違いない。
何しろ、以前に私が書いた「『愛子天皇待望論』は日本だけの現象じゃない…女王続出の世界トレンドと男性をはるかに超える経済効果」でも述べたように、ヨーロッパの王室ではほぼ男系による継承から男女を問わず第1子による継承にシフトしているからである。日本のあり方は、海外からすれば、どうしても時代に逆行するものに見えてしまうのだ。
おりしも宮内庁のホームページでは、「天皇ご一家のご活動」のページに、新しく「愛子内親王殿下のご活動」の項目が設けられた。そこでは、「内親王殿下は、日本赤十字社での日々の業務に取り組まれながら、宮中祭祀を始め、歌会始の儀や講書始の儀、春・秋の園遊会、雅楽演奏会、鴨場での外交団接遇にご出席されるなど、皇族としてのお務めに励まれています」と述べられている。
さらに5月には、国立公文書館の特別展「夢見る光源氏」を観覧したこと、10月には、国民スポーツ大会で陸上競技や柔道競技を観戦し、あわせて佐賀県立佐賀城本丸歴史館や名尾手すき和紙の工房などを視察し、訪問先では多くの人たちと交流するとともに、歴史や伝統文化に触れたことが紹介されている。
まだ量としては多くないが、これから、愛子内親王の活動が数多く紹介されることになるであろう。すでに12月17日には、二度目となる「鴨場接待」で、国際親善にあたることが発表されている。