「子は親の背中を見て育つ」
①見せる
「見せる」は「子は親の背中を見て育つ」と言われるように、親が常に理想とする倫理観に則った行動をすることです。そして、それを子どもに見せてやることが重要です。
不思議なもので、子どもは知らず知らずのうちに親のとっている行動を真似るようになります。
たとえば話し方などは、その最たるものです。親の口癖や使用語彙など表出される情報である「口のきき方」が似るのが当然ですが、表面的な発話のみならず、その背景にある思考も似ます。
つまり、物静かで控えめ、考えていることもあまり口にしないようであれば、子どもたちも「考えた」上で、それを口にしないように育っていきます。
また、物事の本質を捉えて、ことば少なめに核心を突くようなことを言う親の言動を見ていると、子どももそのような思考や発言をするようになります。
論理の瑕疵によく気づく親のもとに育てば、子どもたちも同様に育ちます。
さらに、よく人助けをする、周囲とコミュニケーションを図ろうとするなど、人との関わりに対して、積極的な親の態度を見て育つ子は、自然と自らも積極的に人と関われるようになります。当然のことながら、人助けや社会貢献に積極的な親であれば、子どももそのような人格に自然と育っていきます。
常に子どもに「見られている」という自覚を持って、ご自身の倫理観を発揮するようにしましょう。
自然と子どもも似たような倫理観を持つように育ちます。
なぜ駄目なのかを説明する
②説明する
しかしながら、子どもはまだ年若で、「見せる」だけでは直感的に理解できないこともあります。
たとえば、おもちゃの取り合いなどは、自分の気持ちに反する相手の行動が原因なのですが、まだ相手の気持ちにまで考えが及ばなければ、年下の子からおもちゃを奪うかもしれませんし、年下の子に対しておもちゃを貸さないようなことも起こります。
これは「あの子もこれで遊びたい」という気持ちは「あなたと同じ」であること、ひとつしかないのであれば「順番に遊ぶ」しかないこと。あるいは、自分より体の小さい年少者に対しては「やさしくする」。自分より小さい子はまだ「あなたのように考えることができない」ことなどを説明してやらなくてはいけません。「駄目なことは駄目だ」などと思考停止せずに、なぜ駄目なのかを説明するようにしましょう。
親の取った行動、あるいは友人の行動などについて話し合う際にも、何が良くて何が悪いのかを説明してやることと、そうした説明を習慣づけることが重要です。
これは、記録に残すのもひとつの方法です。そのようにすれば、過去の行動と比較しての成長を親も子も感じることができるでしょう。
この点に関しては、子どもが納得行くまで丁寧に説明することが大切です。ついつい、オペラント条件づけ的にご褒美で釣ったりしますが、それは避けましょう。

