人の立場に立って物事を考える
自分は社会の一員であり、社会に貢献する責任があり、弱いものは助ける、強いものに屈しないという「適度な倫理観」は、多くの日本人が共通して持つ倫理観です。
言い換えれば「善悪の判断ができ、他者を尊重しながら自らの幸せを主体的に追い求めることができる」といった緩やかな「武士道」が日本人における「適度に高い倫理感」とでもいえるでしょう。
また、社会性の面では、冗談を言って場を和やかにしたり、人の幸せのために相談に乗ったり、(「余計」でない範囲の)おせっかいをしたり、あるいは(過度なおしゃれや自己主張ではない範囲で)身だしなみを整えたり、人を不快にしないよう心配りするなどの感情や行動も適度な倫理観の表出と考えられます。
倫理観は論理的判断に影響します。論理的判断は独善的になりがちです。なぜなら、ひとの立場によって論理は異なるからです。だから戦争は起きるのです。
そこで発揮されるべきは適度な倫理観です。人の立場に立って物事を考える。その上で、ようやく理想の結論にたどりつけるのです。
適度に高い倫理観を育む
適度に高い倫理観は、人間関係の根っこの部分になるので、確実に育みたいものです。
その取り組みを説明します。
ポイントは次の3つです。
②説明する
③考えさせる
この3つのポイントを実行するには前提として、親子間の会話の環境が整っている必要があります。
心がすれ違っている状態で、これらの作業に取り組もうとしても、子どもはそれを「価値観の押し付け」と受け取って反発する可能性があります。
知覚力を豊かにするための「広く、深く、いもづる式に語彙を豊かにしておく」、理解力を高めるための「読み聞かせ」をする、論理性を育む「ごっこ遊び」をする。
また、子どもの自由時間を奪うようなエンタメの要素を控えめにして「思考」のトレーニングをさせたり、家族の会話を増やしたりするような準備をしておく必要があります。
さて、「見せる、説明する、考えさせる」を順次見ていきましょう。

