子どもが欲しいか、何人欲しいか真面目に考える

出産にはパートナーとの関係や仕事など社会的な条件も大切だ。最適な「産み時」は医学的な産み時と必ずしもイコールではない。それはもちろんのことだが、マスコミは安易に国の出産政策を非難し、子どもが欲しいのに産めない夫婦を増やすことは慎むべきだと思う。目指すべきは、産まないことも十分に容認される中で、産みたい男女に正確な知識と支援が与えられることだろう。晩産化時代の身体は、出産年齢の自由には、ついていきたくてもついていけないことがあるのだ。身体のメッセージに耳を傾けるべきである。

まず、してほしいことは、子どもが欲しいかどうかを真面目に考えてみることだ。さらに、ひとりっ子でよいか、何人かほしいのかも考えてみる。パートナーがすでにいる人なら、それを相手の希望とすり合わせてみる。そして、それは何年間を要するのかを計算してみると自分がいつ何をしたらよいのかよくわかる。35歳で子どものことを考え始めて「そうだ、私も3人きょうだいだったから3人欲しい」と言い出しても現実にはなかなか難しい。

今、私は医師、看護職向けの雑誌を多数出している医学書院という専門出版社で子どもや結婚、そして少子化対策について男女、年齢、未婚・既婚を問わないネットアンケートを実施中だ。回答後、これまでに回答してくれた450名ほどの人の中間集計がすべて閲覧できるので、これが答えて下った方へのささやかなお礼である。自分と違う子ども観を持っている人の声にも触れ「自分の子どもに対する気持ちを整理できた」といった声をいただいている。子どもについて考えるきっかけに、サイトを訪れてみてはいかがだろうか。

子ども、結婚、妊娠・出産に関するアンケート【助産雑誌×かんかん!】
http://igs-kankan.com/article/2013/08/000795/
河合 蘭(かわい・らん)
出産、不妊治療、新生児医療の現場を取材してきた出産専門のジャーナリスト。自身は2児を20代出産したのち末子を37歳で高齢出産。国立大学法人東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院、日本赤十字社助産師学校非常勤講師。著書に『卵子老化の真実』(文春新書)、『安全なお産、安心なお産-「つながり」で築く、壊れない医療』、『助産師と産む-病院でも、助産院でも、自宅でも』 (共に岩波書店)、『未妊-「産む」と決められない』(NHK出版生活人新書)など。 http://www.kawairan.com