塾の“おすすめ”をそのまま受け取らなくていい

ずっと試験を解き続けるのは大人でも至難の業です。というのも、入試本番の期間でも、午後だけとか、1教科や2教科で受験するというところがほとんどで、1日8教科というケースはごく稀なことです。

しかも、模試の前日は塾にも通っているでしょうから、休む暇がありません。小学6年生は体の成長にも差があるので、体力のない子は不利になります。もちろん、受験会場が志望校で行われる場合は本番の練習になるメリットはありますが、ヘトヘトの状態で受けた結果は、必ずしも実力が反映されているとは限りません。

では、なぜ中学受験生はこんなにも多くの模試を受けてしまうのでしょうか。私は、親御さんたちが、塾の「受けたほうがいいですよ」「去年の生徒は全員受験しています」というある種の営業トークをそのまま受け取りすぎて、深く考える余裕もなく「ベルトコンベアーに乗っているような状況」に陥っているのではないかと見ています。

塾の年間のカリキュラムに組み込まれているので、「中学受験とはそういうものだ」と思われている親御さんも多いと思いますが、一度立ち止まってお考えになることは損ではありません。

教室で授業を受ける子供たち
写真=iStock.com/FangXiaNuo
※写真はイメージです

“ダイエットせずに体重計に乗る”ような悪循環

私はよく講演会で、まるで「フォアグラ」のように強制的に食べさせられている状態だとお伝えしています。この時期、一番重要なのは通常の授業の復習ややり直しです。本来、模試を受けるかどうかはご家庭で取捨選択しなくてはいけないのに、「とりあえず紹介されたから受ける」「模試があるから受ける」というのであれば、何もメリットがありません。

また、「ダイエットせずに体重計に乗っているだけではないか?」という例えも使っています。模試ばかり受けるのは、運動や食事制限をせずに、体重計にばかり乗って「痩せないね、痩せないね」と嘆いているのと同じです。残念ながら、模試をいくら受けても、学力は上がりません。痩せるための行動、つまり「できていない問題をできるようにするための時間」が確保できていないのですから。

親御さんとしては「わが子の学力の現在地を知るため」「志望校を決めなくてはいけないので情報が欲しい」という理由があると思います。しかし、それでは今の時期にやるべき「学力を上げるための勉強時間」が失われてしまうので、実際は本末転倒なのです。