合否の分かれ目は「自分の力を信じられるか」

だが、問題文を読み進めていくと、所々にヒントが隠されていたり、実は塾で似たようなことを学んでいたりすることに気づく。つまり、これまでの学習履歴・生活履歴を駆使すれば解けるように導かれているということだ。こうした問題を前にしたとき、「こんなの塾で習っていないから分からないよ……」と諦めてしまうか、「よし、まずは読んでみよう。読み進めていけば、何か分かるかもしれないぞ」と、自分の力を信じて前に進んでいけるかが、合否の分かれ目となる。

こうして見てみると、入試問題はその学校の最初の授業ともいえるかもしれない。これまでは「あなたはこの知識を知っていますか?」という問題だったのが、「あなたはこの授業についていくことができますか?」「この授業を面白がれる好奇心はありますか?」と問うているように感じる。

まずは授業の聞き方を変える

では、こうした問題が解けるようになるには、どのような学習をしていけばいいのか?

まず、授業の聞き方を変えることだ。これまでの授業は、先生の話を聞き、大事なポイントを覚えるというものだった。でも、これからはポイントだけ押さえればいいという聞き方ではなく、雑談を含め、先生の話を最初から最後までしっかり聞き、因果関係に意識をおきながら、自分に引き寄せて考え、学ぶという姿勢が大事になってくる。

例えば、先生が素材による熱の伝わり方についての説明をしていたら、「そういえば、夏の暑い日、木製のベンチに座ったときは温かかったけれど、鉄製のベンチに座ったときは、びっくりするほど暑かったな。素材によって熱の伝わり方が違うというのは、ああいうことをいうのかもしれないな」と自分の経験と照らし合わせて考えられる子は、「なるほど、そういうことか!」と納得感のある理解が得られ、自分の知識として定着しやすい。

公園のベンチ
写真=iStock.com/LiuNian
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授業の後は、どの塾でも宿題が出される。テキストの中の演習問題を解くといった内容になりがちだ。多くの子は家に帰ってからすぐ、忘れないうちにその宿題に取り組むだろう。そして、分からない問題があったら、テキストを見て、答えを探し出して、答えを埋めて宿題を終わらせるというパターンになりがちだ。だが、それでは知識は定着しないし、「なぜそうなのか?」という因果関係を説明することはできない。