①低濃度アトロピン点眼

低濃度アストロピン点眼の最大のメリットは「就寝前に点眼薬を1滴さすだけ」という手軽さです。世界的に最も広く行われ、有効性・安全性も証明されている歴史ある治療であり、平均30%の近視進行抑制効果が得られます。日本で発売されたリジュセア点眼液は、さらに強い抑制効果があります。

この点眼薬には瞳孔を拡げる作用があるため、副作用として軽いまぶしさを感じる場合がありますが、多くのお子さんは数日で慣れることがほとんどです。費用も薬剤が1カ月に約4300円と比較的リーズナブル。そのため、近視抑制の最初の治療として最適です。

デメリットは、点眼を忘れると効果が下がるため、継続が不可欠なことです。また、この薬の効果効能は「近視の進行抑制」なので、軽度から中等度までの近視に適しているとされ、強度近視に進んでしまうと治療効果が期待できません。また、瞳孔を広げる作用があるために、目に光を当てるレッドライト治療と併用することはできないので注意が必要です。

②オルソケラトロジー

オルソケラトロジーは「就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用するだけで、近視の進行を抑えるだけでなく、日中の視力もアップする」という点が最大のメリット。

角膜矯正用コンタクトレンズ「メニコンオルソK」。就寝時に装用し、角膜前面を平坦化することで近視を一時的に改善させる特殊なハードコンタクトレンズ。
写真提供=メニコン
角膜矯正用コンタクトレンズ「メニコンオルソK」。就寝時に装用し、角膜前面を平坦化することで近視を一時的に改善させる特殊なハードコンタクトレンズ。

それぞれのお子さんの角膜にフィットする特殊なレンズを作成し、夜間に装用することで、角膜の頂点をわずかに平らになるようクセづけて焦点を合いやすくするため、日中は視力が回復し裸眼で過ごせます。装用開始2年間で、近視進行を約50%抑制することが示されています(※1)。水泳やサッカーなどのスポーツをする子どもにとっては、眼鏡や日中用コンタクトレンズのような煩わしさやリスクがなく、裸眼でよく見えるようになるため、大きなモチベーションになるでしょう。低濃度アトロピン点眼、レッドライト治療との併用も可能です。

デメリットとしては、ハードコンタクトレンズと同様に最初は痛みを感じる場合があること。また、初年度にかかる費用が各施設により違いはありますが18万円前後とやや高く、大人の管理のもと、毎晩の装用と適切な管理が必要なことです。適切な管理を怠ると角膜感染症のリスクが高まります。連日装用をしないと、近視抑制効果が得られないばかりでなく、視力を維持できません。

※1 オルソケラトロジーの近視進行抑制効果について