国内外の連結社員は約33万人、海外売上高比率が43%を超える日立製作所。現地のマーケットに密着した事業運営を担うグローバル人財の育成が急務である。世界で闘える人財をどのように鍛えているのだろうか。

海外で活躍できるマネジャークラスの人材確保が急務

国内市場が伸び悩む中、海外でのビジネス拡大を加速させる企業が相次いでいる。業績不振にあえぐ電機業界の中で2期連続の最高益(純利益、2011年度)を更新した日立製作所も成長戦略の柱に海外展開を据える。

すでに海外売上高比率は43%を超え、さらなる拡大を目論むが、海外市場での成長に不可欠なのが人材競争力の強化だ。従来は海外に製造拠点を築いて現地の販売ルートを通じて売るか、日本の製品を輸出して現地の合弁企業に販売を委託するだけの現地や事業部任せのビジネスが主体であった。当然、海外に派遣する人材も英語が堪能な限られた少数の人であった。

だが、近年は競争も激化している。本社の開発・生産・販売部門が一体となって現地のマーケットに密着した事業運営をしなければ収益増も期待できないし、競合他社との競争にも勝てなくなっている。それに伴い海外要員もこれまで以上に必要になるが、日本企業の最大の課題は現地の運営を担う人材が決定的に不足していることだ。

日立製作所も例外ではない。同社の山口岳男グローバル人財本部長は人材の重要性をこう指摘する。

「たとえば電力ビジネスの場合、発電機やタービンを売るだけではなく、発電所全体の建設を受注し、場合によってはオペレーションも含めて相手に提案するビジネスへと変わってきています。そうなると、現地で全体をマネージする経営者が必要になるが、いなければ育成が急務となってくる。また、現地でビジネスを拡大しようと思えば、日本から人を派遣するだけでは間に合わない。海外で人を採用し、育成していくこともやらないといけません」