2013年5月10日(金)

痴漢冤罪「この人です!」と騒がれたら、まず何をするか

一生を棒にふるトラブル【痴漢冤罪】

PRESIDENT 2011年12月19日号

弁護士 野澤 隆 構成=渡瀬裕哉 撮影=坂本道浩
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痴漢容疑で拘束されたら、まずは弁護士を呼ぶことです。そして、弁護士から家族に連絡してもらい、家族から会社に「急病で倒れたので、有休を使わせていただくようお願いします」と手配します。同僚から「お見舞いに行きたいので入院先を教えてくれ」などと言われても、家族を通じ「絶対安静、面会できない」などと話してもらい、上手にお茶を濁します。

そして、逮捕から10日程度以内に、被害者に連絡を取って事件の解決を図ります。これを過ぎると有休を使い果たしてしまい、会社にバレる可能性が高まります。ここで無駄に完全否認の形を取り続けると、逃亡または罪証隠滅の恐れがあるということで、最大で23日間も拘束されてしまいます。

冤罪事件であるにもかかわらず、なぜ示談する必要があるのかにつき依頼者である被疑者としては釈然としない点が多いのは理解したうえで、依頼者に認めさせる内容は「意図的に触ったのではなく、あくまでも触れただけ」とすることがポイントです。つまり、故意のわいせつ罪ではなく、あくまでも「過失に基づく損害賠償」の形で事件を終わらせるのです。そして、被害者とやり取りする書類上は単に「損害賠償金○○万円」とし、被害者の方に「寛大な処分でかまわない」という旨の記載がある書類にサインをしてもらいます。被害者も最初のうちは怒っていますが、最後はお金で折り合いをつけようとする方も多いのです。こうして示談を成立させ、担当検事に「玉虫色だけど、示談が成立したし、故意のわいせつ罪で無駄に法廷で争われるより不起訴処分のほうが楽だよ」という形で処理させるのです。

とにかく捕まった以上は、ほぼ100%有罪になることを覚悟し、グレーの決着を目指すべきです。私の知る限りでも多くの人が、痴漢で捕まっても会社にバレずに通常の市民生活に戻っています。

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