2011年10月から全都道府県で施行された暴力団排除条例。従来は暴力団の“被害者”だった一般の市民や事業者に対しても、義務と責任を課したことが大きな特色だ。暴力団と知りつつ一定の取引を続けるとか、部屋を貸す、暴力団員に名義を貸すといった暴力団の活動を助長するような行為を行った場合、警察等から指導を受け、悪質な場合には「勧告・公表」の対象となり、暴力団もしくは暴力団員と密接な関係を有する者(「密接交際者」)と認定されることにもなる。

いったん密接交際者と認定されれば、今度は自分自身が暴力団関係者に該当する者として、関係遮断の対象者となり、さまざまな不利益を被ることになる。例えば、指名停止等公共工事の入札から排除され、それと同様に一般私企業からも取引を打ち切られてしまう可能性が高い。

では、自分が経営する店の主要な取引先が暴力団関係者であったとか、長年の友人が暴力団員であったという場合、どのように対処すべきか。

密接交際者の定義は一義的ではないが、警視庁のHPによると暴力団員と知りながら頻繁に飲食を共にする、暴力団員主催のゴルフコンペに参加する、多数の暴力団関係者が出席することがわかっている宴席や冠婚葬祭に列席する等の場合が挙げられている。まずは暴力団との間で社会的に非難されうる行為を避けることが必要だ。

自分は被害者という言い訳は通用しない

社会的な地位や立場によっては、より慎重な対処が求められる。例えば、著名人や上場企業の役職員などの社会的影響力が大きい立場にある者は、暴力団関係者とたった1回飲食を共にしただけでも、そのことが公になれば社会的に大きなダメージを受けてしまう。

相手が暴力団関係者ではないかという噂があった場合や「普通の会社と様子が違うな」と感じた場合などには、まずはその真偽を確認し、取引先なら「反社会的勢力でない旨の表明・確約書」にサインしてもらうのが一番だ。それに応じないようなら、取引をやめるか、友人であっても飲食を共にするような交際をやめるほかない。