一昨年の10月、滋賀県大津市で起きたいじめ自殺事件は原因追及の途にあるが、ネット上では今も「事件」が続いている。加害者や関係者、加害者と間違われた無関係の人がネット上で個人情報を暴かれるなど、匿名での制裁が行われているのだ。

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増えるネットでの“攻撃”

ネット上で起こるいじめの延長上に起こる過激な行為を「サイバーリンチ」と呼ぶ。たとえば加害者の名前や住所などの個人情報がネット上に流出したり、加害者の不利益になる情報を関係者に流したりする、まさに集団による「私刑」である。

最近の研究によると、ネットいじめは子どもにとっては普通のいじめの延長であるという研究結果が出ている、と佛教大学教育学部教授の原清治氏は話す。「最近では大学生の間で、内定をもらった同級生を嫉妬し、その人の素行を人事担当者に送りつけ内定取り消しを狙うケースもある」(原氏)。

ネット上の過激な行動を未然に防ぐには幾つかのアプローチが考えられる。

1つは、「ネット上での匿名性をなくす」といったシステムからのアプローチだ。犯人が特定できればいいというわけである。

もう1つが法制度からのアプローチだ。5年前に韓国においてネット上で中傷された女優が自殺した事件では、「サイバー侮辱罪」導入が検討された。

自衛策はあるのか。「大事なのは『声をあげること』。泣き寝入りが一番よくない。また、やってはならないのが、“やり返し”。被害者が加害者になり、潰し合うことになる。これはネットいじめの特性でもある」(原氏)。