次のアカデミー賞の受賞作は?──そんな将来の「予測」を取引する“市場”が存在する。

市場のメカニズム(金融技術)を利用し、社会や組織にいる人々の将来に関する意見を数字として集約した「雰囲気を計測するための市場」を予測市場という。たとえば「次の日銀総裁は?」という問いであれば、あなたが予測する銘柄──ここでは人物名──を“取引”する。銘柄はリアルタイムで公開されており、値動きするさまはまさに“市場”である。

アイルランドの予測市場「イントレード」は米オバマ大統領再選もいち早く予想して話題に。

予測市場の興味深い点は、その分野に知見のある人間が取引することで、予測が正しい方向に進むことだ。最初に予測市場を設計したのは、ジョージ・メイソン大教授のロビン・ハンソン氏で、1991年にある企業で社内市場を設けたことが始まり。米国内には予測市場システムを提供する企業があり、すでにいくつか商用化されている。

日本ではどうか。「公共的な分野についていえば、インフルエンザの流行やテロの発生等、予測結果次第で政策対応が求められる分野で利用されると面白い」と静岡大学情報学部准教授の佐藤哲也氏は語る。また、コンテンツ作りのための予測も広がると見られ、「アートな分野やセンスが重要な分野では導入が進んでいく」(佐藤氏)。

米国では予測市場を企業内で行い、従業員が予測した市場の結果を、会社の重要な決定に役立て始めている。ただ、「予測市場というのは場合によっては『経営者が見たくない真実』を明らかにしてしまうこともあるツール」(佐藤氏)でもある。それを活用できるか否かが最大の課題となるだろう。