多くの企業が新卒採用の新たな方法を模索するなか、SNSを活用するケースが増えている。学生と企業が真摯に向き合い、能力と適性をまっとうに判断できる採用方法とは――。

2年連続増!大卒採用内定者数はなぜ好転したか

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主要業種別2013年4月大卒採用内定状況

日本経済新聞によると、主要企業の大卒採用内定者数(2013年春入社)は今春実績比3.5%増と2年連続で伸びたことが明らかになったようだ(図表参照)。小売りなど非製造業が同6.6%増と5年ぶりに増加しており、団塊世代の退職に対応するほか、海外や環境関連など成長分野の開拓へ採用を増やすことが背景にあると説明されている。また、残念ながら、製造業は同1.6%減と3年ぶりのマイナスである。

製造業のマイナスは気にかかるが、全体としての好転は好ましい。

だが、ちょっと視点を広げてみると、私は企業が行う新大卒者の採用方法が曲がり角にきているという感覚をもってしまうのである。例えば、読者の皆さんは以下の記事を読んでどう思うだろうか。本年10月10日付の日経新聞朝刊(電子版)の記事である。

楽天は就職活動中の学生らが議論を交わす就活用の交流サイト(SNS)を15日に開設する。参加者は実名で意見を投稿、企業の採用担当者は議論の様子を見て、発言内容が優れた学生に応募を促すメールを送れる仕組み。学生が訪問するOBを探したり、企業が目当ての学生を見つけたりする際にSNSを使うケースが増えているが就活専用のSNSは珍しい。(中略)

対象は就活生のほか、内定者、社会人、企業など。参加者は氏名や学歴、写真などプロフィルを公開し「インターンシップ」などの話題や業界、業種別に自由に意見を投稿する。

発言の積極性、内容など参加者の行動を楽天が分析。それをもとに企業は欲しい人材に直接メールを送る。ES(エントリーシート)などにくらべ、討論では本人の実力や性格が表れやすく「企業の採用効率を向上できる」(楽天)という。

利用企業は年50万円程度の参加費が必要で、メール送付は別料金がかかる。学生の参加は招待制とし、12月時点で5000人を予定。初年度10~20社の活用を目指す。

実は、私が学生と話すと、フェイスブックなどSNSの新卒採用における活用はすこぶる評判が悪い。何の目的でやっているのかわからない、という評価から始まって、時には、あまりにも意味がないので、その企業がかわいそうになってくるというものまである。