相手に嫌な印象を与えてしまう話し方にはどんな共通点があるのか。コミュニケーションコーチの小林音子さんは「具体的には、自分の話ばかりをすることや、相手を都合よく動かそうとする話し方、よかれと思ってアドバイスをする話し方がある。自分の承認欲求に無自覚なことが原因だ」という――。

※本稿は、小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

オフィスでおしゃべりをする3人の男性
写真=iStock.com/mapo
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承認欲求のマネジメントでコミュニケーションは変わる

承認欲求に注目すると、会話の中で自分や相手のマインドが見えてきます。自分の承認欲求をマネジメントするためには、まずは無自覚の欲求に気づく必要があります。

無自覚から自覚に変わるだけでコミュニケーションは変わり始めます。承認欲求のマネジメントを始めるために、「承認欲求をマネジメントできていない5つのNG例」を見ることで自分自身の経験を振り返り、メタ認知をしてみましょう。この記事ではNG例1~3を紹介します。

「会話ジャック」は相手を考えていない行為

【NG1】自分の話ばかりをする

いわゆる「会話ジャック」と呼ばれている行為です。「自分の話を聞いてほしい」という承認欲求を抑えきれないことから生じてしまいます。人が何かを話している途中で話の主導権を自分側に奪ってしまったり、自分の話にすり替えたりしながらトータル的に自分の話ばかりする行為です。

また、会話ジャックは、自分が話したいことを言わなければと必死になっていて、相手の話を真剣に聞いていないときにも起きます。自分の話ばかりして人の話を聞かない、自分の話をするときはイキイキと話すが、人の話を聞くときはスマホをいじっていたり、つまらなそうな態度を取ったりするのです。皆との会話の時間を自己中心的な時間として独占しているのです。

自分の話したいことを話してはいけないわけではありません。しかし、話す時間配分とタイミングの取り方は重要です。人には誰もが「自分の話を聞いてほしい」という欲求があるためです。それなのに自分のことばかりを話してしまうのは、相手のことを考えていないことになります。

コミュニケーションを取るときには、「相手が話す時間」と「自分が話す時間」の配分とバランスを慎重に考慮しなければなりません。自分ばかりが一方的に話してはいけませんし、かといって相手ばかりに話させてもいけません。ただ、どちらかと言えば、相手に多めに話す時間を提供するくらいの気持ちでいるとちょうどいいでしょう。