スモールビジネスの売却額は利益の10倍が相場

重いビジネスは売上が大きいですが、コストも大きいことを忘れてはいけません。

もし売上が落ちてしまったら、短期間でコストを圧縮するのは難しいため、大きな赤字がのしかかるリスクがあります。

でも、スモールビジネスならその心配はいりません。極端な話、コストがゼロ円のビジネスなら、1円以上の売上があれば黒字です。原理的に赤字が出ないのです。もっと重要なことは、コストが小さいスモールビジネスは、イグジットで高く売れるということです。

重いビジネスの売却額はその時点での利益の3倍程度が相場です。スモールビジネスなら、10倍が相場になります。スモールビジネスは、買い手にとっても魅力的だということです。

伸びていくグラフのイメージ
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その理由は、リスクの低さにあります。重いビジネスを買うためには多大な投資金が必要ですから、リスクが高くなるのです。でもスモールビジネスならその逆です。

たとえば私の最初の会社である民泊管理会社は、当時の利益は年900万ぐらいでしたが、1億円で売れました。年間利益の10倍以上ですね。投資金も少ないスモールビジネスだからこそ、高いお金を出して買う価値があると判断されたのです。

ただ、私の3つ目の会社はディベロッパーですから、重いビジネスでした。当時の年間利益は6億弱と民泊管理会社よりはるかに大きかったのですが、売値は15億円でした。まあ、重いビジネスならこんなものです。

今はビジネスをどんどん軽くできる時代です。コストを抑えることとモノ以外を売ることを意識してビジネスを探ってみてください。

1年目で利益を出し、その時点でイグジットできる状態を作る

スモールビジネスにおいては、資本金は100万円もあれば十分です。

先ほど例に挙げた清掃会社を「スモールビジネス」として立ち上げる場合を考えてみましょう。最低限必要なのは、立ち上げの手続き費用と事務所の賃料、スタッフの人件費です。

司法書士に依頼する設立関係費用がざっくりと30万円程度、事務所の頭金が30万円として、合計60万円。残りの40万円が人件費ですが、スタッフ1名の人件費を月あたり20万円として、2カ月分とします。しめて100万円です。

立ち上げのコストが小さいということはそれだけ黒字を出しやすいということを意味しますから、1年目に黒字を達成するのは難しくありません。

もちろん、3〜12カ月目も人件費は発生します。しかし、そのころには売上も発生していますから、人件費を含むコストをカバーできます。

ですから私は、会社設立前にも準備期間を3カ月ほど用意し、2カ月以降に利益が出るように顧客を確保します。創業してから考えはじめるのでは遅いのです。こうして、1年目で利益を出し、その時点でイグジットできる状態を作ってほしいのです。

1年目に100万円の利益が出たということは、2年目はそのビジネスモデルを拡大させればよいのです。2年目に300万円ほどの利益を達成することは、さほど難しくないということです。

もし2年目に300万円の利益を出せれば、スモールビジネスなら利益の10倍ほどの額で売れますから、3000万円でのイグジットが期待できます。

すなわち、100万円で作った会社が、3年で3000万円で売れるということです。

ちなみに、ここで述べた例は「捕らぬ狸の皮算用」ではありません。スタッフに固定給を払うことを想定していますので、むしろ厳しめのシミュレーションです。

人件費を固定給ではなく歩合制にできるビジネスモデルならもっとコストを圧縮できるため、黒字も大きくなるでしょう。

日本ではいまだに、営業パーソンの成功報酬式(コミッション式)が少ないようですが、中国をはじめ世界では歩合制が当たり前になっています。

歩合制が浸透しないせいで日本企業は余計なコストを背負い込んでしまい、そのことが日本経済の足を引っ張っているというのが私の考えですが、それは後述しましょう。