新NISAの口座開設数ではネット証券が躍進している。その他の金融機関ではどうなっているのか。金融アナリストの高橋克英さんは「メガバンク、地銀、信用金庫、大手証券会社では厭戦ムードが漂っている。それでも金融当局の手前や競合他行もあるため、早々と旗を降ろすわけにいかないのが現状だ」という――。
4万円台を回復して終えた日経平均株価を示すモニター=2024年3月19日午後、東京都中央区
写真=時事通信フォト
4万円台を回復して終えた日経平均株価を示すモニター=2024年3月19日午後、東京都中央区

日経平均4万円越えで急速に高まる関心

年初から上昇を続ける日経平均株価が4万円を超え、史上最高値を更新するなど、株式市場が活況だ。「実際に株で儲かっている」「スマホアプリ上の含み益がどんどん増えている」といった成功体験が広がるなか、人生100年時代、物価高に公的年金の事実上の崩壊もあり、老若男女問わず、NISAをはじめ、個人の資産運用への関心が急速に高まっている。

実際、「官民一体となって個人の証券投資を盛り上げていきましょう」との岸田首相の掛け声や金融庁の音頭もあり、NISA特集の雑誌や書籍が次々と刊行され、ネット上でも新しいNISAの解説やどの金融機関でNISA口座を開設すべきか、といった記事やコメントで溢れかえっているのは周知の通りだ。

NISAとは、日本国内での株式や投資信託などの投資における売却益と配当への税率を非課税とする制度である。

NISAは2014年に開始以降、制度が頻繁に変わったことで、制度がごちゃごちゃしていて利用者からも不評だった。このため、一般NISAとつみたてNISAを一本化、非課税期間を無制限にし、年間投資上限額を最大360万円に引き上げ、生涯に亘る非課税限度額も1800万円に増やしたのが、2024年1月からの「新NISA」だ。政府は今後5年間でNISA口座数を3400万、投資額を56兆円にまでそれぞれ倍増させる目標を示している。

ネット証券2社でシェア7割超え

NISA口座は、証券会社だけでなく、銀行、信用金庫、郵便局(ゆうちょ銀行)などの金融機関で開設できる。しかし、取扱商品や手数料などが各社によって異なり、例えば、NISA口座の投資商品のうち個別の株式やETF(上場投資信託)は、銀行や郵便局では取引できない。このため、NISA口座の多くは証券会社で開設されることが多い。特に、取扱商品が圧倒的に多く、販売手数料なしの商品などが充実しているSBI証券や楽天証券などネット証券が人気だ。

金融庁によるとNISA(一般・つみたて)口座数は2136万口座に達しており(2023年12月末)、単純計算ながら、国民全体の17.2%がNISA口座を保有していることになり、まだまだ拡大余地もありそうだ。

なお、日本証券業協会によると証券会社によるNISA口座数は1356万口座(2023年9月末)に上り、証券会社によるNISA口座が、前出のNISA口座数全体の63.5%を占めていることになる。

この証券会社のNISA口座数1356万口座のうち、トップの楽天証券が515万口座(2023年12月末)、SBI証券では437万口座(2023年12月末)を占め、2社合計のシェアは、70.2%と圧倒的な存在感を示しているのだ。