結果を出せる人は見えないところで何をしているのか。キーエンスで全社営業ランキング1位を3期連続で獲得していた岩田圭弘さんは「キーエンスでは“仕事の数値化”を徹底している。数値化は非人間的なイメージを持たれているが、むしろ数値化することで、無駄な努力を減らせ、成果もはっきりするため、手応えを感じやすくなる」という――。

※本稿は、岩田圭弘『数値化の魔力』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

ランニングする人
写真=iStock.com/sportpoint
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キーエンスの数値化は「プロセスの数値化」

前回の記事でもお伝えしましたが、キーエンスの数値化について、再度おさらいしましょう。

“キーエンスの数値化”とは、いわば「プロセスの数値化」です。

たとえば、「受注件数○件」を目標とする営業であれば、受注(結果)に至るまでの「DM→電話→アポ→面談→商談化」の各プロセス(行動)を分解します。

「採用人数○人」を目標とする人事であれば、採用(結果)に至るまでの「応募→書類選考→一次面接→二次面接→最終面接→内定承諾」の各プロセス(行動)を分解します。

そして、それぞれのプロセス(行動)に数字的目標を立て、日々その実績を記録していきます。

こうして、結果に至るまでの自分の行動を分解し、数値化することで、自分の行動のどこにボトルネックがあるのかが見えてきます。そのボトルネックを解消していくことで、「仕事の結果」を最大化していきます。

これが“キーエンスの数値化”です。

「もっと受注件数を上げるように」と言われても…

そもそも、なぜこうして「自分の行動」を見える化しないといけないのでしょうか。その理由を簡単にご説明します。

たとえば、あなたが営業担当だとします。会社としての売上目標を達成するために、上司から「○○さん、今月も受注が未達だよ。もっと受注件数を上げるように」と指示されたら、どう思うでしょうか。

既にあなたは業務を真面目に遂行してきているわけですから、「これ以上何をすればいいのかわからない」という状況にあることが多いでしょう。

「それならクロージングトークを強化しよう」といった意見も出ますが、「果たして、それが本当に受注増加につながるのだろうか」というモヤッとした疑問を持ちながら、明確な努力の方法もわからず、気持ちだけが追い詰められてしまいます。

そうです。「結果(ここでは、受注が未達)」だけをいくら見ていても、その「原因(課題)」が明らかになることはありません。当然ながら、「原因」がわからなければ、改善のしようはありません。