「結果」をプロセスで分解して数値化すると「原因」がわかる

では、「原因」を明らかにするには、どうしたらいいのか。それが、「結果に至るプロセス(行動)」を数字で見える化することです。なぜなら、「結果」というものは必ず、何かしらの「行動」によって生まれるものだからです。

あなたが出した「結果」の原因は必ず、その前のあなたの「行動」に隠れています。今回の営業の例であれば、受注という「結果」を、「DM→電話→アポ→面談→商談化」の各プロセス(行動)に分解します。

そして、「電話100件」「アポ50件」といったように、それぞれについて、自分の日々の行動を数字で記録して、見えるようにするのです。

そうして、「行動」に客観的な数字を与えることで、その「良し悪し」が判断できるようになります。

営業:「今月の受注が足りなかったのは、アポの件数が先月よりも○件下がったからだ」

人事:「昨年よりも採用率が良くない。内定者への条件提示の内容に問題があるはずだ」

「結果」を「プロセス(行動)」で分解して数値化したことで、「原因」を特定することができるようになりました。

このように、結果が振るわない「原因」を客観的に特定するために「数字で『自分の行動』を見える化する」のです。

歩くビジネスマンの足元
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原因がわからなければ、どんな解決策も無意味

先ほど、原因の特定もなしに、「それならクロージングトークを強化しよう」という意見が出た例を出しました。

このように、多くの人は「行動の見える化」をせずに、すぐに「How(解決策)」を考えることに注目してしまいますが、そうすると成果の出ない「無駄な努力」ばかりをすることになってしまいます。

たとえば、私はダイエットを試みたことがありますが、当初は「動いていれば痩せるだろう」という大雑把な考えで朝のランニングを始めました。ところが一向に効果が出ません。

そこで、調べてみると、そもそも私はランニング程度では補えないほどに、1日の摂取カロリーが高いことがわかりました。つまり、最初から課題設定が間違っていたのです。

「結果」を出すためには、「結果が出せない原因(課題)」を特定し、改善する必要がありますが、ここで最も重要なのは「How(解決策)」よりも「Where(どこに原因があるのか)」の特定です。

「Where」がずれていたら、どんなにすばらしい「How」も徒労に終わりますし、逆に言うと、「Where」が特定できれば、あとはそれを改善するだけですから、「成果の出る正しい努力」をすることができます。

そして、この最も重要な「Where」を客観的に特定できるのが、「『自分の行動』の見える化」であり、「数値化」なのです。

こうして、数字で客観的に「原因(課題)」を特定し、改善していくことで、お伝えした「再現性」を担保することができるのです。