平均年収2000万円を誇るキーエンス社員は何が違うのか。キーエンスで全社営業ランキング1位を3期連続で獲得していた岩田圭弘さんは「利益率の高さと給与の高さの背景には“数値化マネジメント”がある。チームで行う際の3つのステップとポイントを紹介しよう」という――。

※本稿は、岩田圭弘『数値化の魔力』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

グラフをチェックするビジネスパーソン
写真=iStock.com/Pichsakul Promrungsee
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キーエンスを支える「数値化マネジメント」

キーエンスは、営業利益率は脅威の55%超、社員の平均年間給与は2000万円超という、「利益率の高さ」と「給与の高さ」で注目を集めています。

その背景にあるのが「数値化マネジメント」です。

キーエンスでは、「数値化マネジメント」が徹底されています。

この記事では、マネジャーが組織の成果を最大化するために数値化を活かす考え方とノウハウについて解説していきます。

マネジメントにおいて最も危険なことは変化に気づかないことであり、これを回避するためにこそ、数値化によりマネジメントの透明性を確保する必要があります。

また、数値化しているにもかかわらず成果が出せていない企業や組織においては、数値化の精度が低いことと、数値化で明らかになった変化の原因を追究しきれていないことが問題としてあります。それではここからは、実際にチームでキーエンスの数値化を実践する手順について見ていきましょう。

「マネジメントの数値化」をする3つのステップ

キーエンスの「マネジメントの数値化」には、大きく3つのステップがあります。「行動を見える化」して「行動の量のボトルネック」を明らかにし、そして「行動の質のボトルネック」を明らかにするという3つのSTEPです。

たとえば図表1のような折れ線グラフに表して確認します。これらのグラフは面談の件数や商談の件数、受注の件数などをモニタリングするために視覚化したものです。

【図表1】チーム全体のグラフ
出典=『数値化の魔力

チームをマネジメントする場合には、メンバーの合計値の進捗しんちょく状況をリアルタイムで視覚化してモニタリングする必要があります。計画どおりに達成されていない数値を見つけたら、すぐに改善する必要があります。

まず量の面から確認して改善し、次に質の面から確認して改善します。そのために、チーム内の数字を合計して視覚化するツールの導入が必要になります。スプレッドシートを共有することから始めてもいいですし、CRMを導入できればより効率よく視覚化できます。

このようにチームの合計数字を確認するためには、チームとしてのKGIとプロセスごとのKPIを設定しておく必要があります。それがSTEP1となります。