「おまえは普通の子じゃない」

【鈴木】もう諦めて覚悟していたみたい。どうにか治って「奇跡だ」と言われました。

だから僕は、おばあちゃんからずっと「おまえは普通の子じゃない」って言われてたんですよ。死ぬはずだったのに生き残った、特別な子なんだって。なんだか、そういうことが重なるんですよ。それから23歳のときにも……いや、オレの話をしてもしょうがないかもしれないけれど。

【叶井】聞きたいですよ。

【鈴木】会社に入ってすぐ、24歳の誕生日にお腹が痛くなったんです。右腹だから盲腸なんだけど、僕の家系には盲腸をやった人がいないのね。だから「なんでこんなに痛いんだろう」と思いながら電車に乗って、新橋の会社に着いた途端に動けなくなった。みんなが騒いで、近くの病院に連れて行ってくれたんです。そうしたら、そこの医者が「手遅れだ」って言ったの。それでオレ、急に力が出て「手遅れってなんだ!!!」って叫んだ。

「電車に乗って、新橋の会社に着いた途端に動けなくなった」
写真=iStock.com/y-studio
「電車に乗って、新橋の会社に着いた途端に動けなくなった」(※写真はイメージです)

医者がお腹を触った瞬間「オペ」

【叶井】あはは、そりゃ医者もびっくりしますね。

【鈴木】医者が慌てて「いや、ここの施設では治療ができないって意味です」って言うんだ。それで「近くに慈恵医大があって、知ってる先生がいるから連絡します」となって、慈恵医大に行ったら、今度はそこの医者が僕のお腹を触った瞬間「オペ」って。

【叶井】早い!

【鈴木】人間というのは、深刻なときに滑稽なことが起こるんですね。それを聞いて僕は「(か細い声で)血液検査……」って言ったんです。まだ触っただけで、盲腸かどうか分からないだろうと思って。そうしたら医者が「馬鹿野郎!」って大きな声で言って、ほっぺたをバーンと叩かれた。

【叶井】そりゃそうですよ、先生はオペって言ってるんですから。