善悪の判断をせず常にニュートラル

もし自分が出世したかったら、まずは上司を出世させること。さらにその上の上司が出世できるところまで考えたプランを立て、下からリードするんです。やがて上司が出世すれば、自分も引き上げてもらえます。そこまで計算できるかどうかであって、決して上司への服従ではありません。

人間って、どこに焦点を置くかで、ある出来事がとても辛いことにも、楽しいことにもなります。善悪の判断があまりにも強すぎる人は、服従しているっていう感覚になりがちです。

例えば雨が降ったとします。「雨だから嫌だな」と思う人は、「雨は嫌なもの」という前提がある。一方、「雨だからって引きこもらないで何かしましょう!」と言う人も、雨が悪いものだと思っているから、いい意味付けをしようとしているだけ。

実際のところ、雨は雨にすぎません。このように、変に善悪の判断をしないようにトレーニングすれば、心をいつもニュートラルに保てるようになるはずです。

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心理学的に見た上手な面従腹背のメカニズム

仕事や人間関係で何かが起こっても、中庸な自分があれば、感情的な反応をしなくなります。もししたとしても、「今、感情的になっているな」と気づくはずです。

感情的な反応の根本は、好きか嫌いなんです。ましてや仕事でしたら、好きか嫌いかではなく、すぐに中庸なスタンスに切り替えられるようになったほうがいいです。

まず、上司に「合わせる」という発想は嫌だという前提をなくすべきでしょう。異質なものの中から自分も成長できますし、視野を広げることにもつながります。

心理カウンセラー 塚越友子
東京女子大学大学院社会学修士号取得。報道や広報の仕事を経て、銀座で人気ナンバーワンのホステスに。その後、心理カウンセラーとして独立し、東京中央カウンセリングを設立。
(構成=吉川明子 撮影=若杉憲司)
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