中国が支配する電池市場に米国参入へ

――最後にもう一度、聞きます。ティメルマンスさんは30年までにはEVのコストが大幅に下がるという確信を持っていますが、22年は電池材料の採掘や供給に制約があり、電池コストが上がりました。なぜ、そこまで自信があるのでしょうか。

大西孝弘『なぜ世界はEVを選ぶのか 最強トヨタへの警鐘』(日経BP)
大西孝弘『なぜ世界はEVを選ぶのか 最強トヨタへの警鐘』(日経BP)

確かに原材料とエネルギーの価格が合わさり、電池の価格が上昇しています。しかし、イノベーションによって電気料金を下げることは可能だと思っています。それだけではなく、技術革新で全固体電池など新しい電池も生まれるでしょう。これらの電池はさらに安くなるでしょう。

米国はIRAにより、電池生産に大規模な投資をすると思います。そうなると競争が激しくなり、中国製の電池ばかりが市場に出回る状態ではなくなるでしょう。世界の電池の市場は、中国製が過半を占めているといわれていますが、ここに米国が参入してくるでしょう。中国製の市場シェアはかなり小さくなる可能性があります。

化石燃料が安い時代はもう終わった

ですから欧州は自国の電池産業を育成し、この市場に参入し、日本とも燃料電池の技術で協力することになるでしょう。こうして競争が激しくなり、クリーンモビリティーが安くなります。今のところ、電池技術に軍配が上がっているように見えますが、水素を使った燃料電池が巻き返す可能性もありますので、勝負はより面白くなると思います。

この点ははっきりさせておきたいのですが、クリーンなモビリティーは手ごろな価格になるということが私の結論です。化石燃料を使ったモビリティーよりずっとです。

化石燃料の探査がより高価になることは、火を見るより明らかです。化石燃料が永久に安い時代は過去のものです。終わったのです。もう戻ってこないのです。

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