ユニフォームとレコードが並ぶ社長室
伊藤忠が今後注力する分野についても少しお話しします。公式には、特定の事業領域に依存しないで全体的に収益を押し上げていく。資源分野などに依存することなく、全体的に収益を押し上げるのが経営スタイルです。一方で、当社としては最大の消費者接点を持つファミリーマートを中心としたリテール分野を中心にする。
生活消費分野において、消費者接点を活かし、脱炭素ソリューション等もからめていく。マーケットインの目線で事業変革を加速していく。
まあ、こんなところですけれど、わかりやすく解説すると、どんな分野でもハンズオン、つまり、現場に入り込んでいって感動する。感動の度合いが大きいところが自然と成長する。感動すれば一生懸命、働くわけですからね。
「どこの会社行っても、社長室っておもろないやろ」って岡藤が言ったんです。それで、岡藤の部屋へ行くと、マリリン・モンローのポスターがあったり、盆栽が飾ってあったり……。
私は社長応接室に大谷翔平選手のユニフォーム、ラグビーのユニフォーム、ビートルズ、ローリングストーンズ、ザ・フーのLPレコードジャケット、マイルス・デイビスの写真を飾りました。
「始まった! という感じがする」一曲
ビートルズのLPは『ザ・ビートルズ・セカンドアルバム』のキャピトル版。僕が小学生の頃、親父がアメリカ出張で買ってきてくれたものです。
A面の1曲目は「ロールオーバー・ベートーベン」。「ベートーベンをぶっ飛ばせ」っていう曲。この曲のイントロで気持ちが入る。ボーカルはジョージ・ハリソン。ビートルズのA面1曲目のボーカルはジョン・レノンかポール・マッカートニー。でも、このアルバムのこの曲はジョージが歌ってます。ヘタウマなソロもジョージ。ドラムもノリがよくて、これを聞くと本能的にスイッチが入ります。始まった!という感じがする。
よーし、きたきたきた。自分を奮い立たせる一曲です。
ですけれど、いちばん好きなプレイヤーはマイルス・デイビス。
大学生の時、やっぱりジャズを聞かなきゃ大人じゃないなって。あの頃は大人になりたかった時期でしょう。最初はマイルスのどこがいいのかまったくわからなかったけれど、段々のめり込んでいって、「やっぱりマイルスは帝王だな」って。