連載#私の失敗談 第8回】どんな人にも失敗はある。ヤフーやLINE、PayPayなどの企業を傘下に抱えるZホールディングス(ZHD)会長の川邊健太郎さんは「Yahoo!メッセンジャーがあったにもかかわらず、スマホ時代に対応できなかった。変わらないことがヤフーの致命的な失敗の一つになった。それは『デジタル後進国』と呼ばれる日本にも当てはまる」という――。(聞き手・構成=ノンフィクション作家・樽谷哲也)
川邊健太郎氏
撮影=遠藤素子
Zホールディングス(ZHD)会長の川邊健太郎さん。

必要な失敗を経験した人から成功に近づいていく

私自身の失敗は嫌というほどあります。そもそも、経営者が「失敗」から得ていく教訓には大きく2つあると思っています。

何か新たなチャレンジのために行動していくうえで、失敗というのは付きものでしょう。むしろ、失敗がなければ、うまくいくようにもならないのではないかと思っています。ですから、一つの結論として現在の私が思うのは、必要な失敗を経験した人から成功に近づいていくということです。「失敗」という名目の、いわば貯金が貯まっていって、とくに大きな成功の機会は訪れる。

もう一つ、必要な失敗をすることによって、リスクに対する捉え方が非常に敏感になったり、現実的になったりしていくことがその人をアグレッシブに鍛えるという結果になるのではないでしょうか。

事業家として当然、未知のチャレンジをしていくわけですが、それは、失敗を恐れてチャレンジすることに消極的になるのではなくて、むしろ、失敗のリスクの伴うチャレンジをどんどんしていくことで成功に近づいていくのだろうと、ふだんから考えています。

それは、さまざまな失敗を積み重ねることによって、致命傷には至らないようにリスクコントロールができるようになっていくととらえています。

「電脳隊」時代の後悔

私自身の歩みは、学生のときからの起業家時代とYahoo! JAPANの経営者時代に大別できます。

まず、起業家時代については、先日、自分のツイッターで私が学生時代に設立したITベンチャーの「電脳隊」という会社の回顧録を書いたところです。そのまとめとして、パートナーシップを結ぶときは順番を間違えないことが大事になると強調しています。これは、逆にいうと、順番を間違えて失敗した私自身の実体験に基づいているからです。

最初はパソコンのインターネット事業を展開して、かなり早い時期からサービスのモバイル化にシフトしました。当時のモバイルインターネット事業で、われわれのように独自の開発ツールを作って売る会社にとっては、最大手の通信キャリアと組むことがすごく重要だったんです。

当時のわれわれは、その最大手と組もうとせず、ほかのところへ行ってしまった。その結果、競合キャリアの回し者と見なされ、最大手となかなか組むことができませんでした。最後の最後で、そのことが非常に大きな重い経営課題となって、会社を売却するところに至ったという痛烈で超大きな失敗体験です。