YouTubeに夢中になっている子どもに、宿題を解かせるにはどうすればいいのか。現役の特別支援学校の教員である平熱さんは、「人はうれしいこと、楽しいことは何度でもやりたくなる。やることの負荷を減らすように環境を整えたうえで、うれしい気持ちが大きくなるように工夫するといい」という――。

※本稿は、平熱『特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

勉強中にスマホを見ている小学生の男の子
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA

「やりやすい環境」を考える

発達につまずきのある子どもたちには「適切な環境を整える」ことが大切です。

こう書くと、なんだかとってもむずかしいように聞こえますが

「やるべきことが、やりやすい環境を整える」

だと理解してくれればオッケーです。

たとえば、バランスボールに座り、暗い手元で裁縫をする人なんていませんよね。やれなくはないけど、やりにくいったらありゃしません。

裁縫は、適切な高さで安定したイスに座り、手元を明るく照らして行います。

例は、ずいぶん極端にわかりやすく書きましたが、実際に子どものまわりの環境を考えるときもこのように、とにかく「やるべきことが、(少しでも)やりやすい環境を整える」を意識してみてください。

「やるべきことが、やりやすい環境を整える」なんてのは、障害があろうがなかろうが、子どもだろうが大人だろうが関係ありません。

クリーンなデスクのほうが作業はしやすいし、なくし物も少ない。日光があたり、緑が多く、清潔なオフィスのほうが、仕事ははかどります。キッチンは広いほうがいいし、長距離を歩くなら革靴よりもランニングシューズです。

ちなみにわたしはオープンなスペースより、ちょっときゅうくつな場所でデスクワークをするほうが得意です。

目のまえや両脇が壁で囲われているともう最高です。視界がさえぎられて作業がはかどります。

できればノイズキャンセリングのイヤフォンもほしいです。

みなさんにもあるでしょう? こんなふうに「やるべきことが、やりやすい」環境が。

なので、その子の「やるべきこと」に対して、どうすれば「やりやすい」かを考えて試して、修正していってみてください。