薬を徐々に減らさないと「効きすぎ」になる

【和田】「よその科の専門家に文句を言ってはいけない」とはいえ、専門家のアホさ加減というのは、もう救いようのない状態だと思いますよ。「俺は感染症のプロだ」「俺はこの臓器のプロだ」「お前らにはわかりっこないんだから、よその科は口出すな」と。それが今の多剤併用の一番大きな原因にもなっている。循環器内科に行き、呼吸器内科に行き、お次はどこそこの内科に行き、おのおのの先生から出された薬を無批判に使っていたら、そりゃたちまち10種類にもなりますよね。

【鳥集】和田さんの外来に患者さんが来られて、たとえば10種類も飲んでいたら、和田さんご自身は他科の薬でも「これは減らしたほうがいい」と言いますか。

【和田】精神科の外来で、患者さんが「こんなに飲まされているんです」と言ってきたら、どれを減らすといいのかお答えします。それに、どう見てもぼんやりしているとか、元気がなさすぎるという時には、「ちょっと薬を減らしたほうがいいんじゃないですか」とアドバイスします。

【鳥集】浴風会病院のような高齢者中心の医療機関だと、認知症やうつ病の疑いで病院に来たけど、診察してみたら薬のせいだったということもよくあるのではないでしょうか。

【和田】ありますよね。僕が浴風会に勤めていた頃は、ベンゾ(ベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬)がものすごく使われていた時代でした。やはり、それを減らしていくと患者さんの状態がだいぶ違ってきました。

それに、年を取れば取るほど肝機能も腎機能も落ちるわけだから、1日3回飲んでいる薬を2回に減らし、最終的に1回に減らすといったことをしないと、薬の成分が徐々に体に溜まって「効きすぎ」の状態になってしまいます。

【鳥集】それについても、多くの人があまり意識してないことのように感じます。血圧でも血糖値でも、以前はたくさんの薬を飲まないと下がらなかったのが、肝機能や腎機能が落ちたことで薬の成分が体内に残りやすくなり、下がりすぎになることがあると聞いたことがあります。

日本の医者は真面目に患者を診ていない

【和田】おっしゃる通りです。今朝もテレビを見ていて噛みつきたくなったんだけど、室内の温度を18度以上に保たないと死亡リスクが増えるといったことを、たまたまワイドショーでやっていたんです。そこに出てきた先生が、「夏と冬では、だいたい血圧が10くらい違うんですよ」って言うんです。では聞きますけど、夏と冬で薬を変える医者がどれだけいるの。

【鳥集】あまりいないでしょうね。

【和田】日本の医者が、いかに真面目に患者を診てないかということなんです。

【鳥集】そうですね。毎回、受診するたびに検査をしているのは、患者さんの状態の変化を見るためですよね。でも、それがあまり活かされていない。

患者の脈をとる医師
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