連邦型国家の首都は小都市にある

基礎自治体は、衆議院小選挙区の半分くらいを最小単位とするのが現実的だろう。人口100万人で定数3の県だったら、1区は県庁所在地のことが多いので単独、残りのふたつの選挙区を二分割して合計5基礎自治体になる。そして、その合計はだいたい400になる。

この区分は、関係市町村、都道府県の意見も聞くが、最終的には国会が決めるべきだ。現在の市町村合併のように地元の合意で決めると、弱い立場の自治体にとって損な区分けになることが多くなってしまうからだ。

ただし、このような地方分権型の国家にすると、むしろ、東京の独り勝ちになる恐れもある。東京が決めたことを地方は受け入れるしかなくなることが多くなるからだ。

富士山を背景にした東京の都市風景
写真=iStock.com/Eloi_Omella
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そもそも連邦型の国家にするなら、首都は中立的な場所の小都市に置かないと論理矛盾なのである。ワシントンもそうだし、EUでも事務局はベルギーのブリュッセル、議会はフランスのストラスブールだ。

その意味で、本当の問題解決には首都機能移転が不可欠だ。なお、首都移転についての議論の経緯と世界の動きについては、拙著『世界史が面白くなる首都誕生の謎』(知恵の森文庫)で詳しく論じている。

人口の地方分散は少子化対策にもなる

東京一極集中の詳しいメカニズムは、別の機会に論じたいが、私が最近、もっとも心配しているのは少子化への影響だ。厚労省によると、東京の合計特殊出生率(女性が一生に生む子供の平均数)は全国平均の1.4に対して1.1。東京集中は少子化も加速させている。

一方、西日本の人口減は、中国などを念頭に置いた安全保障上も危険だ。無人島も心配だが、沖縄や過疎地など、海外からわずかの移民が来たら日本人が多数派の土地でなくなってしまう。また、特殊出生率の上位10位はいずれも福井以西。人口の地方分散は少子化にも安全保障にも最良の方策だ。

ところが、現実の地方振興策は、経済合理性を失った限界市町村の一時的延命に浪費されている。いまこそ、「廃県置州・廃市町村置藩」で、守りから攻めの地方振興に転じるべき時だ。

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