ランドオペレーションはもはや無法地帯

日本でのランドオペレーションはもはや無法地帯。やはり中国人留学生たちがマイクロバスやミニバンを使って訪日客を有償で案内している。見方によっては白タク行為(営業許可を受けずに自家用車でタクシー営業すること)だが、料金はガイド料も含めたパッケージになっていて中国で事前に払い込まれることが多いようで、違法というよりは脱法行為としてまかり通っている。

宿泊場所にしても、ガイド兼運転手が温泉場の安い旅館を手配したり、中国人向けの民泊仲介サイトも活用されている(民泊規制が強まってからは貸しテントでキャンプする手合いも増えている)。支払いも「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」などのオンライン決済サービスを利用するから、スマホで瞬時にできる。もう、やりたい放題なのだ。

さて、日本政府が30年の目標に掲げた「年間6000万人」は、観光大国イタリアのインバウンドにほぼ匹敵する(18年で年間約6200万人)。

都市国家を源流とするイタリアは北から南まで地方、街々に個性的な特徴がある。観光資源は豊富だし、どこに行っても食事のレベルが高い。年間6000万人以上の観光客が訪れる理由がうかがい知れる。

日本も観光立国のポテンシャルはあると思う。年間4000万人規模までなら、現状の受け入れ体制を見直したり、積み増せば到達できるかもしれない。数年前に2400万人だったときには民泊が600万泊を担ったが、民泊法が施行されてからは180日ルールなどのために激減している。しかし6000万人となると、産業構造をガラリと変えないと無理だろう。

6000万人の半分は中国人になると思われるので、中国人観光客をいかに呼び込めるかが鍵になる。そのためには、既得権益を守るために中国人留学生を排除するのではなく、逆に優遇して呼び水にするべきだ。できればトレーニングを施してチャンスを与え、旅行業でまっとうに稼げるようにするのだ。情報発信も大いにやってもらう。

国を挙げて法律も変えていくべきで、いつまでも民泊を規制して民泊事業を行うAirbnbをイジメている場合ではない。日本の最大の埋蔵金は1800兆円の個人金融資産と日本の住宅総数の13%以上を占める空き家である。この2つを結びつけて、空き家を整備して民泊に一年中活用できるようにすれば、インバウンドの巨大な受け皿になるはずだ。

(構成=小川 剛)
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