良品計画の持つ本当の強み

今後の展開を考えると、良品計画はブランドイメージの原点を見つめなおす必要がある。

良品計画は、わが国の価値観をもとにした相応の価格で人々が安心して買える、あるいは大切にしようと思うモノを提供してきた。そのイメージをもとに、人々に新しい生き方を提唱することが同社の強み(コア・コンピタンス)といえる。良品計画の経営陣が自社の強みをどうとらえ、活かすかが問われている。

近年、“メイド・イン・ジャパン”に対する評価が上昇しつつある。一例が、トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」だ。2019年、中国の新車販売台数は前年から8.2%減少した一方で、レクサスブランドの販売台数は25%増加している。

経済成長に伴い中国の消費者は、より良いモノを欲するようになっている。見方を変えれば、低価格帯のコモディティ化しやすい製品よりも、精巧なモノづくりなどに支えられた品質の高さ、安心感などに価値を見いだす人が増えている。

“メイド・イン・ジャパン”が大きな武器に

化粧品、日用品などの分野でも、海外での人権費の上昇、品質の維持と向上などを理由に、海外から日本に生産拠点を戻す本邦企業がある。世界の消費者は、わが国の基準に基づいたモノを求めつつあるといえる。より良いモノづくりを通して消費者の満足度を高めるために、“メイド・イン・ジャパン”は大きな武器となる可能性がある。それは無印良品にも当てはまるだろう。

足元、米中の貿易摩擦によるサプライチェーン混乱への対応から、中国から東南アジアに生産拠点を移す企業が増えている。それに伴い、世界経済のダイナミズムは徐々に中国から東南アジア新興国に移りつつある。長期の展開を考えた時、良品計画が東南アジア新興国の需要獲得を目指すことは有効な戦略と考えられる。

同社がその成果を手に入れるためには、重視してきた国内生産などの価値観を再確認し、そのうえで各国のニーズに合わせた商品開発を進め、消費体験の創造が目指されるとよいだろう。その発想を実践できれば、再度、良品計画が海外市場において人気を得ることは可能だと考える。

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