相手の不在時に電話する理由

「戦略的に」人の心理を理解しておくことも大切だ。

「本当に時間に追われている人もいるが、そうでなくてもあまり愛想がよくない人もいる」と、キャリア・リーダーのCEOで、心理学者のジェームズ・ウォルドループは言う。

インターネットを使ったキャリア評価プログラム、キャリア・リーダーは、世界中の企業や講座で利用されている。「肝心なのは、利用者の心を読み、相手によってはあまり頻繁に接触しないようにすることだ」。

だが、ウォルドループが指摘するように、かなり気難しい人であっても、誠実な手助けの申し出には感謝するものだ。

まずは、電子メールや電話を相手に合わせた内容にすることだ。たとえば、「そろそろお子さんたちが大学を卒業されるころですね。私がわずかでもお役に立てるようでしたら、ぜひご連絡ください」という電子メールを送ってもよいだろう。

あるいは「御社が苦境にあるという噂を耳にしました。ご存知のとおり、私は以前同じような状況に対処したことがあります。戦略を練りたいとか、何かをしたいとお思いでしたら、遠慮なくお電話ください」という文面でもよいだろう。加えて適度なユーモアがあることが望ましいと、ウォルドループはアドバイスする。適度なユーモアはこちらの誠実さを際立たせたり、相手の気持ちを和ませたりできるからだ。

ウォルドループはさらに、相手がオフィスにおらず電話に出ないことがわかっているときにあえて電話するほうが、差し出がましい印象をあまり持たれずにすむかもしれないと言う。

相手が不在のときに電話すればメッセージを残すことができるので、こちらの言いたいことを言い終わらないうちに話を遮られずにすむ。

人脈を築くにあたって、いろいろなバックグラウンドの人々に働きかけることがきわめて重要だとコントラクターは言う。さまざまな専門分野や社会経済的背景を持つさまざまな国の人が集まれば、隣の席の同僚には思いつけない創造的な解決策や問い合わせ先を思いつくことができるだろう。

コントラクターは学生たちに次のようなエクササイズをさせて、学生が自分のネットワークをどれくらいうまく維持しているかを判定させている。

まず、学生たちに自分の「取締役会」なるもののリスト、すなわち仕事上の重要な問題について電話で相談できる知人名簿を作成させる。それから、それらの人たちにどのようにして出会ったかを書き記させるのだ。

「彼らは大抵、自分の人生で最も大切な人たちに自分を紹介してくれたのはごく少数の人であることに気づく」と、彼は言う。

「これらの人たちこそ、人脈を広げる手助けをしてくれているのだから、関係を育んでいくべきだ。彼らとのつながりは必ず維持しなければならない」

これによって、最も大切な知人は誰かに紹介されたのではなく自分で直接連絡を取ったのだと気づく学生もいるという。

「それはよい傾向ではない」とコントラクターは言う。

「それはつまり、自分のネットワークをうまく利用しておらず、好循環を生み出していないということだからだ」

(ディプロマット=翻訳)