時に思いこみは、自分の負けだという思いにつながる。強大な不安だ。バズフィードの編集長、モーガン・シャナハンはそれを「自分はなんて失敗をしたんだと思い悩み、他人は自分よりずっといい親だと嘆き、自分がこれまでに出会った人はみんなもっといい人間だと思いこむ。車が目の前を通りすぎていくのを見れば、その車の方がよく見え、乗っている人たちはみな成功していて、きっといい親で子供になんでもしてやれるんだと思う」と言っている。

対人恐怖症も才能のうち

対人恐怖症は仕事上の素晴らしい才能になりえる。というのも、他人が何を求めているか、すぐにわかるからだ。わたしはいつも、クライアントの扱いがうまいのは、不満に思われるんじゃないかといつもビクビクしてるからよ、と冗談にしている。

モラ・アーロンズ=ミリ『内向型のままでも成功できる仕事術』(宮垣明子訳、辰巳出版)

心理学者エレン・ヘンドリクセンの著書によれば、不安を感じる人見知りは「社会に対するアンテナが敏感すぎる」のだという。堂々と会議室に入っていくことはできないのに、その場の空気を読むことはできるというのは皮肉なものだ。周りの人に悪く思われてはいないかとか、そんなことありもしないのに、悪く思われたんじゃないかと想像してしまう。

わたしと同じように対人恐怖症を持つ人たちは、おかしいのは自分の方だと考え、その結果トイレに駆けこむわけだが、それさえなければむしろ楽しめるのだ。

大人になった今では慎重によく考えて、不安を便利な道具に使えるようになった。みんなわたしのことを好き、と自分に言い聞かせる。これはいつも使っている方法だ。

不安だからこそ対処ができる

あなたはきっと、飛び立つなんて絶対できないタイプだろう! 先まわりして不安になるのはつまり、自分の中でそれをすでにやってみているということだ。うまくいかないと思ってしまうのは、おそらくスピーチやスライドの切り替えを頭の中でちゃんと練習したからだろう。

人はきちんと準備されたものに対して、容赦なく攻撃する(ヒラリー・クリントンが討論会の時に下準備してきたことをドナルド・トランプが口汚くののしったこと、覚えているでしょう)。不安に思うからこそ準備するもの。それはつまり、自分の仕事や、自分自身について、何かあってもちゃんと対処できるということだ。