彼は語っていました。自分が本当に面白いと思っていないものを人さまに見せることほど、失礼なことはない、と。

そして、大事なことは、どんな番組なのかを問われたとき、一言でいえること。それ以外はヒットしない。ルールがたくさんあったら、視聴者はついていけないからです。シンプルでわかりやすいものがいい、ということ。

ヒットする番組企画の特徴とは
  
一言で、こういう番組だ、と言えること

違う世界をインプットする

私は作家にもたくさんインタビューしていますが、毎日のように散歩に出掛ける、と語っていた人は少なくありませんでした。同じように、デスクに座っているだけでは、得られない刺激を、外に出ることで得られるからだと思います。

違う世界をインプットすることによって、脳はいつもと違う反応を見せる。それはすなわち、ウンウンうなっても出て来ない企画やキーワードが出てくるということ。じっとしていても出て来ないものが、外に出て行くことで出てくるのです。

企画は会社の中で生み出さないといけないもの、というのも、もしかすると呪縛のひとつかしれません。一流の企画者たちは、デスク以外の場所に積極的に出ていって、企画を生み出しているのです。

五感にフルに駆使してみる

上阪徹『企画書は10分で書きなさい』(方丈社)

最近では、公園のような場所に行って、チームが外でミーティングをする、といった取り組みもあるようです。素晴らしいと思います。いつもと違う刺激は五感を揺さぶり、間違いなく頭を活性化させるはずです。

五感に刺激を与えるには、自然環境のあるところがいいのだそうです。私自身、ときどき公園に行って、五感をオンにするようにしています。耳を澄ますと、いつもは聞こえない鳥の声が聞こえてきたりします。季節の風が肌に当たる感触を得ることができます。

五感をフルに駆使して世の中を見てみると、いつもと違った景色が見えてくるかもしれません。ちょっとした意識をするだけで、新しい刺激が手に入る。それは、脳をいつもと違う活性へと、企画を生み出す新しい脳へと導いてくれるかもしれません。

上阪徹(うえさか・とおる)
ブックライター。1966年兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍、webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手がける。これまでの取材人数は3000人超。著書に『ビジネスにうまい文章はいらない』(大和書房)、『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)他多数。
(写真=iStock.com)
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