示談を進めたのは事務所か、山口本人か

ジャニーズ事務所をつけ上がらせたのはメディアの責任も大である。テレビ局などは、ジャニーズ事務所に媚びへつらい、歌番組はもちろんのこと、ドラマも丸投げ状態が長く続いた。

出版社も同様である。先に述べたように、ジャニーズ事務所はもちろんのこと、AKB48などのアイドルたちのスキャンダルも、一部の週刊誌を除いて、社の上から扱うなと厳命が下され、現場からは不満の声がでていると聞いている。

各社の芸能担当記者たちも同様である。今回、山口やTOKIOの4人の会見でも、週刊誌などは入場を制限され、質問ができるのは気心の知れた無難な記者ばかりだった。

そのため、強制わいせつの範囲を矮小化し、キス程度だったことにしたい事務所側のもくろみを打ち破る質問は何も出なかった。TOKIOの4人に答えを求めるのは酷だろうが、質問することで見えてくるものがあるはずだ。

示談を進めたのは事務所か山口本人か。アルコール依存症はどの程度か。退院後、事務所は山口にどう対処していたのか。事件が報じられるまで、山口をテレビに出演させ続けていたのはなぜか。TOKIOの解散はあるのか。聞きたいことは山ほどあるはずだが、そうした質問は出なかった。

所属タレントにセクハラをする「帝国」の実態

ましてや、なぜジャニー&メリーの喜多川姉弟は表に出てこないのか、という質問などは期待するほうが無理というものだ。芸能マスコミも根腐れしてきている。

喜多川社長の才能は「芸能界で売れる見栄えの良い少年」を発掘することである。フォーリーブス、たのきんトリオ、SMAP、TOKIO、嵐など、次々にアイドルグループを成功させてきた彼の異能ぶりが、今日のジャニーズ帝国をつくりあげた。

しかし、フォーリーブスのメンバーだった北公次が、喜多川社長についての暴露本を出した。週刊文春の連載キャンペーンを喜多川が名誉棄損で訴えた裁判では、二審の東京高裁(矢崎秀一裁判長)が一審判決を翻して、喜多川社長の所属タレントへのセクハラ行為をはっきりと認定した。

帝国の実態が次々に明るみに出て、土台が崩れつつあった。それに拍車をかけたのがSMAPの解散だった。

その前にSMAPのマネージメントをしていた女性マネージャーが事務所を辞め、独立した。

先月には、関ジャニ∞の渋谷すばるがグループからの脱退を発表した。15周年のツアーを始める直前だった(※)。

※初出時、「5周年」としていましたが、正しくは「15周年」です。訂正します。

かつて「王国」「帝国」とまでいわれたナベプロ(渡辺プロダクション)が70年代後半に「崩壊」したのも、一テレビ局の反乱からだった。驕れるジャニーズ帝国の崩壊もそう遠い事ではないはずだ。これからも事務所の方針に嫌気を起こし、離れるタレントが出てくる。

山口達也の不祥事が、SMAP解散で急坂を下り始めたジャニーズ帝国凋落のダメ押しになる。私はそう思っている。(文中敬称略)