なぜ記者たちは「ジャニー喜多川を出せ」といわないのか

『週刊現代』(5月19日号)はこう報じている。

「警視庁は山口を書類送検する際、検察に対して『厳重処分』という処分意見をつけた。これは起訴を求めるという重い見解だ」

東京地検は不起訴の理由を、山口は強制わいせつ容疑を認めていて示談も成立している。また社会的制裁を受けていることも考慮したといっている。

ここからは推測だが、被害者の母親のコメントを読む限り、女子高生の被った被害は大きいようだから、山口側は相当な額の示談金を払ったと思われる。

こうした事件では、示談が成立するかどうかが起訴と不起訴を分ける。“大した犯罪”だったのだが、カネを積んで何とか不起訴に持ち込んだというのが真相のはずだ。

その上、山口は“アルコール依存症”による肝臓病が悪化して1カ月入院していた。退院したその日の夜、焼酎を1本飲んで事件を起こしているのだ。事務所側やマネージャーの管理監督責任が問われてしかるべきだ。

企業に不祥事が起きると、記者たちは必ず「社長を出せ」と要求する。なぜ今回、「ジャニー喜多川を出せ」「メリー喜多川を出せ」と記者たちはいわないのか。

喜多川社長はファクスで、「私自身はすべての所属タレントの『親』としての責任を負いながら今後も彼らが“ひと”として成長できますよう、支援し続けて参る所存でございます」という、まるでひとごとのような文面を発表しただけだった。

「断酒会」に参加させて、テレビで毎週流せばいい

「親としての責任」というなら、アル中の中年男をなぜ一人で放置していたのか。山口と2人で謝罪し、山口を芸能界から永久追放するとでもいうべきであった。

否、もっといい方法がある。山口を「断酒会」に参加させて、その模様をテレビで毎週流すのだ。DASH村よりリアルで啓蒙精神あふれるドキュメンタリーになる。

山口が50歳になったら、視聴者からの投票で、依存症から抜けられたかどうかを決めるというのはどうだろう。

事件発覚後の山口の身の処し方も明らかにおかしかった。酒毒が体中に回ったのではないのか、としか思えない行動だった。

3月末に警察からの聴取を受けていた。だが、事務所に知らせたのは4月に入ってからだった。事務所側はそれを受けて、極秘裏に被害者との示談交渉を進めた。事件をもみ消そうとしていたのであろう。

警察の聴取後も山口は、何もなかったかのようにテレビに出演していた。事務所の力をもってすれば、何とかなると高をくくっていたのではないか。